一方、AIによって商品を探しやすくなるからといって、消費者が買い物の全てをAIに任せるとは限らない。
Criteoの調査では、GeminiやChatGPTのような汎用AIアシスタントと支払いに関する情報を共有することに慎重な人は55%に上った。また、小売業者が提供する専門特化型AIアシスタントを信頼すると回答した人の割合は、汎用AIアシスタントを信頼すると回答した人の3倍だった。
こうした結果からは、AIを商品探しに活用することと、決済などの重要な判断まで任せることの間には、心理的な隔たりがあることがうかがえる。
コマシンスキ氏も、消費者が買い物のあらゆる過程をAIに委ねるようになるとの見方には慎重だ。買い物は単に商品を手に入れるための作業ではない。商品を比較して迷ったり、購入する商品を自分で選んだりすること自体が、買い物の楽しさを形作っているからだ。小売業者やマーケットプレイスは、引き続き購買の重要な接点であり続けるだろう。
実際、調査では「複数の商品を比較しながら、どれにしようか迷っている時間が楽しい」と回答した人は55%、「どれを買うか最終的な判断を下すときが、買い物で一番ワクワクする」と答えた人は54%だった。
AI時代の広告で重要になるのは、消費者の意図や状況に合った商品を提示することだ。コマシンスキ氏は、AIとの対話から得られる消費者の現在の関心事と、過去の閲覧・購買履歴などを組み合わせることで、より具体的で関連性の高い商品提案が可能になると説明する。
例えば、ランニング用品を多く購入している顧客が、AIに疲労回復について質問したとする。質問の内容だけを見れば、健康関連の商品などが候補になる。しかし、過去の購買履歴やトレーニングに関する情報も組み合わせれば、疲れにくいランニングシューズなど、その顧客の関心に合った商品を提案できる可能性がある。
こうした提案を実現するには、商品情報だけでなく、消費者が何を検索し、何を閲覧し、何をカートに入れ、最終的に何を購入したのかといった行動データも必要だ。
ECサイト内の行動に限らず、外部のWebサイトやアプリでどのような情報に接触したのか、その接触が購入にどうつながったのかも把握したい。商品との出会いから購入に至るまでの行動をつなぎ合わせることで、消費者が何を求めているのかをより深く理解できる。
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