生成AIの普及により、消費者が商品を発見し、比較・検討して購入するまでの流れが変わりつつある。AIが企業に新規顧客獲得の機会をもたらす一方で、AIに見つからない企業はどんどん淘汰されてしまう──。そんな時代に、企業は自社のマーケティング戦略のどこを見直すべきなのか。
コマースメディアプラットフォームを手掛ける仏CriteoのCEO、マイケル・コマシンスキ(Michael Komasinski)氏は、AI時代には消費者の購買プロセスだけでなく、広告の役割も変わると指摘する。企業はAIを通じて商品を見つけてもらうために、どう対応すべきか。
コマシンスキ氏は「AIは新たな商取引の玄関口になりつつある」と説明する。消費者はAIに「この商品との違いは何か」「どのように使えばいいか」と質問するだけでなく「来週75歳になる母へのプレゼントのアイデアを教えてほしい」といった条件を伝え、具体的な商品を機能や価格などから比較するようになりつつある。
従来の検索では、消費者がキーワードを入力し、表示されたWebサイトを訪問して商品を探すのが一般的だった。一方、AIとの対話では、希望や条件を伝えることで商品を提案してもらい、そのまま比較・検討へと進みやすい。商品を探す入り口が増えるとともに、購買プロセスの進み方も変わりつつある。
Criteoが実施した調査によると、調べ物をする際にAIを利用する機会が1年前から増えた人は73%に達した。また、商品の選択肢を絞る際にAIを利用する人は34%だった。AIを利用した後、ECサイトや店舗で情報収集や商品購入などの行動を起こした経験がある人は85%に上った。
こうした変化は、広告市場にも広がっている。米OpenAIは8月31日、ChatGPTにおける広告事業の年換算売上高が10億ドルに達したと発表した。広告事業の開始から200日足らずでの達成で、広告主は数万社に上るという。
AI経由の流入は、これまで自社と接点がなかった消費者に商品を知ってもらう機会にもなる。Criteoが扱うChatGPT広告経由のトラフィックでは、新規顧客が80%を占めた。コマシンスキ氏は「25年以上マーケティングに携わってきた中で、これほど高い新規顧客の割合は見たことがない」と評価する。
従来のECサイトでは、トップページや商品一覧ページを入り口に、消費者が商品を探し、比較する設計が一般的だった。AIが消費者の希望や条件を整理し、具体的な商品を提示できれば、消費者は商品の詳細ページに直接訪問する可能性が高まる。
商品詳細ページでは、商品の特徴や価格、在庫状況などを明記し、消費者が購入を判断する際に必要な情報を網羅する設計を目指す必要がある。AI経由の流入を増やすだけでなく、訪問した消費者がそのまま購入を検討できる環境を整えることも重要だ。
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