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建設現場の「古い図面」問題 紙とデジタルのズレが招く「手戻り」と「工事遅延」、日本HPはどう解消した?(3/3 ページ)

» 2026年11月02日 10時00分 公開
[田中圭太郎,ITmedia]
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紙・PDFの図面をAIが「下書き」してCAD化

 HP Build Workspaceの柱の一つとなるのが、図面作成のボトルネックを解消するHP AIベクタライゼーションだ。この機能では紙図面をスキャンしたデータやPDFを、AIの技術で編集が可能なDXFに変換できる。DXFは、CADアプリケーション間で共有できるデータ形式だ。

 改修やリノベーションの現場では、建物やPDF図面があるものの、CADデータがない場合が少なくない。その場合は人の手による再トレースの作業が必要になる。また、紙の図面をCADで編集可能なデータに変換する従来のラスベク変換では、変換前の図面に合わせた処理や、変換後の調整が必要だった。

 それが、HP AIベクタライゼーションでは、紙図面やPDFから要素別にレイヤーを自動で生成する。人がイチから書き直す必要がなくなる上に、専門知識を持っていなくてもAIが下書きを用意して、人が確認し、必要な部分を修正すればCAD図面を仕上げられるようになった。

「AIベクタライゼーション」で、2次元の平面図や立面図を描くCAD(Computer Aided Design)などのデジタルデータが存在しなくても、紙やPDFの図面からAIの支援によってCAD図面を簡単に変換することが可能になった

 日本HPの大判プリンター事業本部の手島彩衣カテゴリーマネージャーは、クラウドプラットフォームのHP Build Workspaceと、複合機をはじめとする大型プリンターの新製品をそろえた戦略を次のように表現した。

 「正しい図面を管理する。現場と共有する。過去の紙図面を再利用しやすい設計資産に変える。私たちがお伝えしたいのは、紙、PDF、CAD、クラウドとこれまでは別々だったものを、1つのワークフローとしてつなげる流れです。そして、その中心にあるのは常に正しい図面です」

 「HPは現場で使われる紙の良さを生かしながら、正しい図面を活用できる仕組みを日々のワークフローの中に取り込んできました。図面のことを知るHPだからこそ、正しい図面が活用され続けることを大切にしています」

日本HP 大判プリンター事業本部 手島彩衣カテゴリーマネージャー(同社提供)

 「DX=紙をなくすこと」と決めつけ、現場を無視したデジタル化を進めてもうまくいかない。大切なのは紙の便利さを否定せず、最新データとつなぎ直すことにある。紙をなくすのではなく、手元の紙が常に最新であり続ける仕組みをつくる。日本HPのアプローチは、大上段に構えたDXの理想論ではなく、シンプルで現実的な答えだった。

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