――第3四半期の価格がまだ決まっていないことに驚いた。これが通常なのか、値上げ交渉などが難航しているのか。
藤川氏 通常だ。毎月決まるという顧客もある。傾向として、現在モノが不足しているため、お客さまとしては「なるべく早期に決着したい」、サプライヤーとしては「なるべくゆっくり決着したい」という力関係のバランスがある。これは、モノが余ると逆転する。
平常運転だと、9月末に10〜12月の価格が決まっているのが理想だが、そのような状況はない。10月末時点で価格が決まっているのはおよそ50%だ。
――今後、売り上げが好調なデータセンター向けを優先させ、スマートフォン向け需要は断るケースも出てくるのか。
藤川氏 現在、データセンター、ハイパースケーラー、スマートフォン、PCなど向けの要求は、当社の供給能力を超えているため、断るというか、需要に応えられない状況が続いている。
その中で、当社が強制的、一方的にスマートフォンやPCなどの供給を減らして、データセンターにシフトしているのかというと、必ずしもそうではない。当社の製品開発における優先度が、データセンターなどAIがけん引している市場に向いている点は間違いない。
一方で、この先、PCやスマートフォンで「オンデバイスAI」需要が出てくる可能性がある中で、各市場のキープレイヤーとは良好な関係を維持したいというのが太田(社長)の指示でもある。キオクシアHDとしてはなるべくバランスを取ってサポートしたい。ただし、売価の上昇率や価格の弾力性は異なるため、戦略的に考えてサポートしている。
――AI需要によってメモリの供給が足りていない状況について、2027年以降はさらに供給がひっ迫するのか。
藤川氏 2026〜2027年を通して、需要は非常に強い。供給量が需要に満たないという状況が続くと考えている。2028年も、引き続きAIがけん引する需要が強いと読んでいる。一方でサプライヤー側の供給がどうなるかが焦点だ。報道では各社ともキャパシティーを増やそうとしており、2028年の需給バランスがどうなるかを考えるのは早計だ。ただ、需要は引き続き旺盛で、2027年は、2026年よりも需要が強まるだろう。
――ハイパースケーラーの設備投資について、市場で懸念の声が上がっている。実需と市況をどうみているか。
藤川氏 一部のハイパースケーラーやネオクラウドベンダーの資金繰りを心配する記事を目にする。実需として私たちに来ている要求――つまり、建設済みあるいは建設中のデータセンターからくる要求は強い。そこは手堅い。
――2025〜2026年にかけて、韓国のSamsung Electronics(サムスン電子)や米Micron Technologyの台湾拠点で、利益の従業員還元を巡るストライキが発生し、生産上のリスクになるという受け止め方がある。株主還元については配当の実施があったが、従業員還元についてはどう取り組むのか。
藤川氏 従業員への還元は、業績に連動した賞与を積み増しながら対応している。国や会社によって従業員還元の考え方は違う。当社としては長期にわたって勤めてほしいため、安定した給与と業績に連動した賞与を支払っている。現状で、ストライキなど「どこかの会社」のようなリスクはない。
――業績のダウンターン(下落局面)が来た際の対応はどうか。
藤川氏 例えば、2022〜2023年にこの業界は非常に大きなダウンターンに見舞われた。そのときも、キオクシアは従業員に給与をしっかり支払っている。ボーナスも出している。
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