クレディセゾンのAI活用は、ミスが許されない業務にも広がっている。
2026年6月には、株主総会の事務局業務にAIを導入した。従来は、各部門が作成した想定問答集を事前にまとめ、当日に株主から質問が出ると、バインダーでとじた大量の資料から該当する回答を探し、議長に渡していた。
こうした業務を効率化するため、運営事務局が回答案を提示する業務を支援するAIアシスタントを使用。AIが想定問答集から回答候補を提示し、事務局が内容を確認した上で、議長に回答を渡す流れを実現した。
こうしたAI活用を全社に広げるには何が必要なのか。小野氏はポイントとして「まず実際に使ってみること」を挙げる。
クレディセゾンは2025年6月末から8月初めにかけて、全社員約3600人のうち315人を対象に、1カ月強のパイロット導入を実施した。参加者は各部門から募り、バックオフィスの業務でもAIの効果を確かめた。
例えば財務経理部では、取締役会などに提出する経営文書の数値や記述の矛盾をチェックする専用GPTを作成した。決算資料について社内から問い合わせがあった際に、回答案を作るGPTも用意した。これらの取り組みにより、1カ月強で1人当たり34時間の削減効果を確認したという。
人事部では社員アンケートの要約や他社の人事施策のリサーチ、広報室ではプレスリリースのたたき台の作成などに活用。監査室では、金融庁などによる検査を想定し、担当者が音声で受け答えを練習できるロールプレイの仕組みも作った。
こうした実践で効果を確かめてから、導入の判断を進めることが大事だと小野氏は指摘する。
「生成AIのように変化の激しい世界では、まずDoしてみる。実際に触れてみると、自分の仕事にどう当てはめられるかが分かります。現場の実感として効果があると分かったら、最後に計画を立てる。PDCA(Plan→Do→Check→Action)ではなく、DCAPのサイクルを回すことが大事です」
クレディセゾンは2027年末までに、2019年比で300万時間の業務削減を目指す。これは社員約1500人分の労働をAIで置き換える計算になるという。すでに約230万時間の削減を実現している。
AIの利用枠が月半ばで尽きるほど活用が広がったクレディセゾン。使い始めてから見えてくる課題に向き合い、現場で試行錯誤を重ねながら全社的なAXを前に進めている。
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