セブンを迎え撃ち ファミマが沖縄で伸び続ける理由:過熱するコンビニ戦争(2/4 ページ)
沖縄に訪れたことのある人ならご存じだろうが、街でよく目につくコンビニといえばファミリーマートだ。30年近く前にエリアFCとして設立された沖縄ファミリーマートの戦略が功を奏し、今や沖縄では不動の地位を築いている。その取り組みとは――。
徹底したローカライズ戦略
沖縄ファミリーマートがビジネス成長するきっかけとなったのは、「ローカライズの徹底」にあるという。設立当初はファミリーマート本部から持ち込まれた商品やキャンペーン企画をそのまま東京の店舗と同じように展開していたが、苦戦を強いられた。「本部は、東京で人気の商品や企画を沖縄に持って行っても売れるという発想だったが、コンビニとはその土地の日常に根付いているもの。そのやり方は通用しなかった」と糸数氏は振り返る。
例えば、あるキャンペーン企画で、当選者は東京や大阪で開催されるコンサートに招待するとあっても、距離的な問題などから沖縄から行く人はほとんどいなかった。なのに、そうしたキャンペーンが次々と持ち込まれたという。
そこで沖縄で開催するイベントなどを対象にしたキャンペーンに変更した。同時に商品もテコ入れ。沖縄ファミリーマート独自の中食メニューを開発し、「タコライス」や「ゴーヤー弁当」といったロングヒット商品を生み出した。最近では「泡盛コーヒー」なども人気である。
実はこうしたローカライズ商品は地元の消費者だけでなく、沖縄を訪れた観光客にも人気を博している。旅行などで地方に行けば、その土地オリジナルの商品を期待するのは当然。観光客が土産に購入していくようになり、今では『ファミマに行けば沖縄らしいものが買える』と言ってくださる観光客が増えた」と糸数氏は力を込める。現在では全商品の2〜3割がローカライズ商品だという。この取り組みが功を奏し、店舗の1日当たりの売り上げが当初の倍以上となる約62万円にまで伸びたそうだ。
このような地域の独自性を打ち出せるのは、エリアFCならではの強みでもある。糸数氏によると、経営の意思決定や決裁などのスピードは速く、商品開発も柔軟に行えるという。かたや本部の役割も重要で、例えば、従業員の技術指導やシステム導入などは本部の力に頼るところが大きい。このバランスをうまくとって経営のかじ取りをすれば、エリアFCの強さはより発揮されることになる。
沖縄ファミリーマートの成功を裏付けるように、2009年10月にはローソンが沖縄のスーパー大手・サンエーと合弁でローソン沖縄を設立した。ローソンは1997年に沖縄進出していたものの、事業拡大に行き詰まりを感じ、地元色を強くして成長を加速させたいというのが背景にある。
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