牙をむき始めたトランプ政権 対日貿易交渉で自動車産業はどうなる?:“いま”が分かるビジネス塾(1/3 ページ)
米国・トランプ政権が日本をターゲットにした貿易交渉に動き始めた。日本側が米国の要求をすべて拒否するのは難しく、何を捨てて何を取るのかという選択になるのはほぼ確実といってよい。
米国・トランプ政権が、いよいよ日本をターゲットにした貿易交渉に動き始めた。日本側が米国の要求をすべて拒否するのは難しく、何を捨てて何を取るのかという選択になるのはほぼ確実といってよい。
次はいよいよ日本
トランプ米大統領は、日本との貿易交渉に関して「合意しないと大変な問題になる」と語った。日本と米国は8月から貿易協議をスタートさせているが、現時点では意見交換レベルにとどまっており、具体的な成果は得られていない。トランプ氏は今後の交渉を見据え、日本側が大幅に譲歩するよう迫ったものとみられる。
これまでトランプ政権は主に中国をターゲットに貿易交渉を行ってきた。その理由は、米国が抱える貿易赤字の大半が中国向けとなっており、ボリュームが大きいからである。次のターゲットが日本であることは当初からはっきりしており、今回の発言はいよいよその順番が回ってきたことを示している。
トランプ氏にとって11月に行われる中間選挙で勝利することが当面の政治的課題であり、そのためには選挙前に貿易交渉についてある程度の成果を出しておきたい。9月26日に行われた日米首脳会談でも通商問題にかなりの時間が割かれたと思われる。
日本と米国の力関係を考えると、日本側がすべての要求を拒絶するのは難しく、最終的にどの部分で妥協するのかで日本経済への影響は変わってくる。このあたりについて予想するためには、日本と米国がどのような貿易を行っているのか知っておく必要があるだろう。
トランプ氏が指摘するように米国は日本に対して多額の貿易赤字を抱えている。
日本の米国に対する輸出は年間約15兆円だが、米国からは8兆円しか輸入していないので、日本は米国に対して7兆円の貿易黒字となっている。
日本全体の輸出額は78兆円だが、米国向け輸出はその5分の1を占めており、日本にとって最大の輸出先となっている。2番目に輸出が多いのは中国だが、中国に輸出された電子部品などは中国国内で最終製品として組み立てられ、米国に輸出されるケースも多い。この分も含めると、日本は米国への輸出に大きく依存した状態であることが分かる。
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