2015年7月27日以前の記事
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牙をむき始めたトランプ政権 対日貿易交渉で自動車産業はどうなる?“いま”が分かるビジネス塾(2/3 ページ)

米国・トランプ政権が日本をターゲットにした貿易交渉に動き始めた。日本側が米国の要求をすべて拒否するのは難しく、何を捨てて何を取るのかという選択になるのはほぼ確実といってよい。

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日本経済は米国への輸出に過度に依存している

 輸出の内訳を見ると、日本経済の屋台骨である自動車産業がいかに米国に依存しているのかがハッキリする。米国向け輸出15兆円のうち、自動車関連は6兆円に達しており、他の品目と比較すると突出して多い。

 自動車メーカーは現地生産化を進めており、輸出への依存度は低くなっているはずだが、ここまで米国向けの輸出が多いのは、最大手であるトヨタ自動車が国内生産を維持しているからである。同社は2017年度に890万台の自動車を販売したが、米国向けが最も多く280万台となっている。つまりトヨタは米国でモノを売る企業だが、半分が国内生産で、輸出依存度が高い。

日本の米国向け輸出のうち約6兆円が自動車関連だ(写真はイメージです)
日本の米国向け輸出のうち約6兆円が自動車関連だ(写真はイメージです)

 日産自動車やホンダは現地生産比率が高いものの、基幹部品を輸出するケースがあるため、トヨタほどではないが、輸出に依存する部分があることは否定できない。

 自動車は、日本の産業の中で、唯一グローバルな競争力を維持している業界であり、日本経済は自動車産業のおかげで成り立っているといっても過言ではない。だが、自動車産業は完全に北米に依存した状況であり、トランプ政権にとっては格好の交渉材料なのだ。

 トランプ氏は日本からの自動車関連輸出に関税をかけることをほのめかしているが、これが最終的な狙いではないだろう。日本からの自動車輸出に関税をかけてしまうとトヨタのクルマが米国で売れなくなってしまう。米国内において自動車販売店は一大産業であり、トヨタの販売店も例外ではない。自動車の売れ行きが悪化する政策はトランプ氏にとってはマイナスとなる可能性が高い。 

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