モンテローザ、焼酎割りのニュー飲料で狙う“ハイボールの次の座”:停滞する居酒屋のお酒に新ヒットを(3/3 ページ)
モンテローザが焼酎の卸や酒蔵と組んで焼酎割りの新ブランド「スパイダー」を売り込む。ハイボールの次のヒットが生まれない居酒屋業界と低迷が続く焼酎業界が手を組み若者にアピール。
「ハイボールの物まねでは駄目」
モンテローザの担当者によると、居酒屋メニューで一見して内容が分かりづらい商品名は一般的にはNGだという。「今回も客から『何なのか分からない』といわれるかもしれず不安は大きい」(担当者)。それでも焼酎とあまり関係ない片仮名の名称にこだわったのは、コンセプトより「まずは興味を持ってもらうため」。名前の由来はさておき、おしゃれな名称と見た目のインパクトで若い人に知ってもらい、焼酎への先入観抜きで飲んでもらいたいと語る。
焼酎をノンアルコールで割った飲料を巡っては、宮崎本店(三重県四日市市)の製造する甲類の「キンミヤ焼酎」が東京都内の下町エリアの居酒屋で既に浸透している。酒類メーカーだけでなく、ポッカサッポロフード&ビバレッジもペットボトルの人気飲料「加賀棒ほうじ茶」を焼酎などを割る業務用商品として17年秋から卸すようになった。エー・ピーカンパニーの塚田農場やエスワイフード(名古屋市)の世界の山ちゃんなど、主に肉料理を扱う和食系の居酒屋で使われている。採用チェーン数は拡大傾向にあるという。
ただ、上記の居酒屋の焼酎割り商品の多くは「〇〇ハイ」などあくまでハイボールを連想させるような名前が多く、スパイダーのような無関係で思い切った名称は異例だ。今回のモンテローザの取り組みでも、一部店舗ではスパイダーでなくやはり「〇〇ハイ」といった名称で売り出されるという。
「ウイスキーの物まねでは駄目。あくまで新しいお酒のカテゴリーを作る必要がある」(中村社長)。ハイボールのヒットを巡っては、大手メーカーによる大規模な広告戦略が奏功した面も大きい。居酒屋のいち運営会社と焼酎業界のタッグは、果たしてそのハイボールの次のヒットの座を狙えるか。
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