麻生氏「年金受給記憶ない」発言が物議 共産党・小池氏のでたらめな批判内容:専門家のイロメガネ(6/7 ページ)
老後資金は2000万円不足する……問題の議論の過程で、年金に関する勘違いを助長する話が出ている。日本共産党の小池昇氏のツイートを見ると、同氏も年金を理解していない。小池氏の勘違いは社会保障制度の誤解を招く可能性がある。
母親が年金の時効寸前に
年金は5年で時効になるといった話は相当マニアックで、知らない人も多いだろう。なぜ筆者が知っているかというと、FPだからではなく筆者の母が実際この状況になったからだ。
現在、年金の支給開始年齢は60歳から65歳へと何十年も時間をかけて移行中だ。筆者の母親もちょうどその狭間にいる。おそらくニュースや新聞などで、年金の支給開始が65歳に移行すると目にして、それが「今すぐ全員に適用される」と勘違いしてしまったのだろう。
この移行は国民年金部分と厚生年金部分でタイミングがずれている上に、男女でも移行のタイミングにずれがあり、非常にややこしい。ある日突然60歳から65歳へと先送りになれば大混乱が発生するため仕方はないが、このような仕組みが母親を勘違いさせてしまったことは間違いない。
そして65歳の時点で受け取りに行ったところ、あなたは60歳からもらえる予定だったんですよ、もう少しで当初の年金が時効になるところでしたよ、ともらっていなかった分をまとめて受け取ったようだ。母親もこの件については不親切だと文句を言っていたが申請主義とはこういうことだ。
小池氏の勘違いは社会保障制度を阻害しかねない
麻生氏については申請主義の部分まで誤解しているかどうかは不明だが、小池氏のツイートを見る限り、年齢のみを前提に、もらえないわけがないと書き込みをしている。これは年金のみならず申請主義について間違った理解をしていることになる。
国政に携わる人がそんな細かいルールまで知らなくても問題はない、たまたま間違っただけ、揚げ足を取るな、と文句を言う人もいるかもしれない。
しかしこの申請主義の仕組みは(良いか悪いかは別にして)日本の公的制度の根幹をなすものだ。申請主義を理解していれば、年金は高齢者になれば自動的にもらえるかのような批判をするはずもない。そして申請主義の原則を知らないと、前述したように社会保障や公的制度のありとあらゆる場面で損をする可能性がある。
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