麻生氏「年金受給記憶ない」発言が物議 共産党・小池氏のでたらめな批判内容:専門家のイロメガネ(5/7 ページ)
老後資金は2000万円不足する……問題の議論の過程で、年金に関する勘違いを助長する話が出ている。日本共産党の小池昇氏のツイートを見ると、同氏も年金を理解していない。小池氏の勘違いは社会保障制度の誤解を招く可能性がある。
年金は放っておいたらもらえない。
小池氏のもう1つの間違いが「79歳なら受け取っているはず」と、一定の年齢を超えれば必ず年金を受け取れると思い込んでいることだ。これは極めて深刻な間違いで、勘違いでは到底すまされない。
もし麻生氏が議員を引退していて、所得がほかになければ必ず年金を受け取っているのだろうか? 答えはNOだ。
なぜなら現在の年金制度は、受給資格を得ても勝手にお金を銀行口座へ振り込んでくれたり、現金書留でお金を送り付けたりといった仕組みになっていないからだ。支給開始の3カ月前に、「あなたはこれから年金をもらえます」という「案内」は届く。ただし手続きをしない限りもらえない。日本年金機構のHPでもその旨が以下のようにはっきりと説明されている。
年金は、年金を受ける資格ができたとき自動的に支給が始まるものではありません。ご自身で年金を受けるための手続き(年金請求)を行う必要があります。
※支給開始年齢になった時 日本年金機構Webページより
そして年金には「時効」もある。申請をしないまま5年間放置すると受給の権利が消えてしまう。つまり、無職で収入がない78歳の男性でも、年金受給の手続きを一切しなければ1円も年金をもらえない上に、5年放置すればその権利まで消えてしまう(ただし救済措置はある。※参照 年金の時効 日本年金機構)。
このように、申請をしない限り年金がもらえない仕組みを「申請主義」という。これは老齢年金に限らず、障害年金や遺族年金、生活保護や失業保険、介護保険などほぼあらゆる公的制度に適用されている。社会保障制度の多くは、受給や利用の申請をしない限りお金をもらったり制度が適用されたりしない。
この話を筆者がTwitterで少しつぶやいたところ、「健康保険とか年金の保険料は一方的に納付書が届いたり、給料から差し引かれたりするじゃないか」といったコメントが付いた。保険料の徴収については半ば強制的に行われるが、受給については申請しない限りもらえない。これが現在の制度だ。
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