誰も頼れず孤独死も…… 新型コロナがあぶり出す、家族と社会の“ひずみ”:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(3/5 ページ)
新型コロナ感染拡大によって、孤独死の問題も表面化している。家族のカタチは大きく変わり、頼ることができる「家族」がいない人も増えている。一方で、日本社会は40年前の「家族による自助」を前提とした理念と仕組みを踏襲し続けている。
一人暮らしの高齢男性は10倍以上に
特に65歳以上の一人暮らしの増加は男女ともに顕著で、1980年には男性約19万人、女性約69万人で、65歳以上人口に占める割合は男性4.3%、女性11.2%でしたが、2015年には男性約192万人、女性約400万人となり、65歳以上人口に占める割合は男性13.3%、女性21.1%に。男性ではなんと10倍以上に増えているのです。(参考:内閣府「平成30年版高齢社会白書」)
単身世帯の増加は、長寿化の影響と「団塊の世代」が80歳以上になることが大きな要因ですが、今後は50代の男性の単身世帯が増加していくと予想されています。
その理由が、未婚率の増加です。50歳時点で一度も結婚をしたことのない人の割合=生涯未婚率は、男性の場合、1985年までは1〜3%台で推移していましたが、90年以降、急激に上昇を始め、2015年には23%に。30年には28%になると推計され、女性の生涯未婚率も15年の14%から19%に高まるとされています。
もっとも、「結婚したくない」「ひとりが好き」という、ライフスタイルの変化も大きな要因ですが、問題は「結婚したくてもできない」「事情があって家族と会えない」というケースが増えているリアルです。
非正規雇用の増加と生涯未婚率には関連が認められていますし、非正規の人が親の介護で仕事を辞めることを余儀なくされ、親が他界したあとに仕事に就けないことも少なくありません。
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