誰も頼れず孤独死も…… 新型コロナがあぶり出す、家族と社会の“ひずみ”:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(4/5 ページ)
新型コロナ感染拡大によって、孤独死の問題も表面化している。家族のカタチは大きく変わり、頼ることができる「家族」がいない人も増えている。一方で、日本社会は40年前の「家族による自助」を前提とした理念と仕組みを踏襲し続けている。
訪問介護が「家族の穴」を埋める現状
つまるところ、単身世帯は貧困のリスク、孤立するリスクが極めて高いのです。2005年のOECDによる調査では、日本の社会的孤立の割合はOECD加盟国の中で最も高く、友達や同僚たちと過ごすことが「まれ」あるいは「ない」と答えた人の割合は、男性16.7%、女性14.0%でした(全体の平均は6.7%)。
平均以下の5%だった英国では20年1月に「孤独担当大臣」が誕生し、ドイツでも孤独に苦しむ国民が増えていることから「孤独対策の担当省の設置を!」という意見も出てきているといいます。
かたや日本はどうでしょうか? 非正規と正社員の賃金格差は一向に改善されませんし、孤立する人たちへの支援も民間やNPO頼みで国の支援は手薄です。高齢者の介護も「家族、家族、家族」と家族で介護する方針が進められていますが、最後の砦といわれる訪問介護の人たちが「家族の穴」を埋めているのが現状です。
しかし、その介護の現場もコロナ禍で崩壊寸前。というか、今なんらかの支援策を早急に打たないことには、完全に崩壊しかねない状況にある。
訪問介護職員の総数は約43万3000人で、7割近くが非常勤、約4割が60歳以上。65歳以上は約2割です(厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」2017年)。肉体的にも精神的にもハードな仕事なので、年齢を理由に退職する人も多く、4割を占める60歳以上のヘルパーは今後10年のうちにほとんどが引退する可能性が高いため、人手不足が解消する見込みはほぼありません。
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