星野リゾート星野佳路代表が“倒産確率”を公表した理由 「組織を強くするマネジメント」とは?:離職は「最大のロス」(3/4 ページ)
星野リゾートの星野佳路代表は、5月より予約や財務の状況など、幾つかの変数をもとに計算した「倒産確率」を社員向けに発表している。コロナ禍という危機の中では、経営の内容を正直に伝えることが大切で、社員一人一人が経営の動きを知ることが「会社を強くする」という星野代表の考えから取った施策だという。狙いを聞いた。
コロナは危機であり、「組織を強くするチャンス」
――従業員満足度調査ではどんな声があがっているか?
どこの会社も同じだと思うが、1つは前述の休暇の件、もう1つは給与面の待遇について要望が多い。給与については、生産性をあげて利益を出して会社が強くならないと対応ができず時間はかかっているが、30歳平均年収500万円を目標に掲げ、あと一歩まで来ている。
お金は借りれば振り込まれてすぐ使える一方、人材はそうはいかない。マルチタスクで動いてもらうこともあり、戦力になるまで時間がかかる。星野リゾートが大事にする価値観や文化を理解したスタッフが運営するからこそ、それぞれの施設の魅力があり顧客がついてくる。
離職率を抑え込んでいくのは私の大きなミッションだ。スタッフが知りたいことは伝え、改善が必要なことは共有し、必要なことは、すぐには難しくても数年かけて目指していく。そうやって休暇は110日を達成し、年収についても、あと2年ぐらいで達成できるところまできた。
――コロナ禍は危機ではあったものの、組織を強くする機会にもなったということですね。
コロナ禍の一番つらかった4月、5月を、ともに戦い一緒に乗り越えてきたことは自信となり、会社の一体感は増した。しばらくはウィズコロナの中で生き残りをかけて戦うことになるが、この1、2年は後で振り返った時に貴重な機会になると信じている。5年、10年と長期にわたり、コロナ禍での経験は繰り返し思い出され、組織を強くしてくれるはずだ。
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