コラム
コロナ禍の経営悪化、企業の“既往症”が影響? 2021年に向けた、マネジメントのヒントを探る:マネジメントで振り返る2020年(3/4 ページ)
コロナ禍が猛威をふるった2020年。さまざまな業界・企業が経営悪化に見舞われた。経営コンサルタントの大関暁夫は、経営悪化した企業は“既往症”が影響しているとみる。マネジメントを軸に、1年を振り返ってみよう。
オーナー系企業でも既往症が顕在化
その他の業界でも、既往症を持つ企業はコロナ禍で軒並み苦しい状況に追い込まれています。例えば大塚家具がその筆頭でしょう。
“親子喧嘩”以降続いている業績低迷からの復活を期してヤマダ電機の軍門に下り再建に力を尽くすも、回復を図るにはコロナ禍のダメージはあまりに大き過ぎました。大塚久美子前社長は退任を余儀なくされ、家具界の名門企業は創業家の手を離れることになったのです。
また、緊急事態宣言以降の自粛生活のあおりで廃業・閉店が相次ぐ外食産業では、近年の大量出店が重荷となって大幅な赤字を生んでいた「いきなり!ステーキ」を運営するペッパーフードサービスが、“泣きっ面に蜂”状態に陥っていることも周知の事実です。祖業のペッパーランチを手放し、ファンドの支援を得つつもなお債務超過から脱却できず、光明は全く見えていません。
経営者、特にオーナー経営者は「裸の王様」になりがちです。基本的に、経営者の周囲にはイエスマンが群がるもの、との理解をもって自らの“肌露出度”に注意を払う必要があります。日頃から自己の主張に固執しすぎず、外部からの厳しい意見にも耳を傾ける姿勢が大切であると、つくづく思わされるところです。
関連記事
- 「2代目」が陥るワナ――大戸屋の、“愛言葉”を忘れた値下げ路線が失敗しそうなワケ
経営権を巡ってドタバタ劇を繰り広げる大戸屋。“愛言葉”を忘れた新体制による、祖業を見切った値下げ路線は成功するのか。大塚家具とともに、大戸屋でも起こっている創業家2代目が陥るワナとは? - セコい値下げで喜んでいる場合ではない、NTTのドコモ完全子会社化ウラ事情
NTTがドコモを完全子会社すると発表。5Gや6Gのイニシアチブ奪還に向けて歓迎する声も多いが…… - 本当に大丈夫? 菅首相の「地銀再編」発言が、再び“失われた10年”を呼びそうな理由
菅首相がしきりに口にする「地銀再編」。確かに苦境に置かれる地銀だが、再編はうまくいくのだろうか。筆者は過去の長銀破綻を例に出し、また「失われた10年」来てもおかしくないと指摘する。 - 半沢直樹を笑えない? 現実に起こり得る、メガバンク「倍返し」危機とは
7年ぶり放映でも好調の「半沢直樹」。「倍返し」に決めぜりふに銀行の横暴を描く姿が人気だが、どうもフィクションだけの話では済まない可能性が出てきた。現実のメガバンクに迫りくる「倍返し」危機とは? - 7年ぶりに新作の半沢直樹 1月放送の「エピソードゼロ」からメガバンクの生存戦略を読み解く
7年ぶりに続編が放映されるドラマ「半沢直樹」。当時から今までで、銀行界はどう変わった? メガバンクの生存戦略と作品を合わせて読み解く。 - 「カメラ事業売却」の衝撃 業務提携中のオリンパスとソニー、祖業を巡る両社の分岐点とは?
カメラ映像事業の売却を発表したオリンパス。好対照なのが、業務提携関係にあるソニーだ。コロナ対応を巡る両社の分岐点とは? - 長期化するコロナショック レナウンの次に危ない有名企業とは?
新型コロナの影響はとどまらず、航空業界、観光業界を中心に甚大な影響を与え続けている。日本企業では、レナウンの破綻が話題となったが、経営に詳しい筆者の大関暁夫氏は、次に危ない企業として、2つの有名企業を挙げる。共通するのは、両社とも“時限爆弾”を抱える点だ - 都銀再編時に「ごみ箱」構想を持っていた金融庁と地銀救済で手を組むSBIホールディングスは天使か、悪魔か?
SBIホールディングスが仕掛ける「地銀救済」。陰には金融庁の影響も見え隠れするが、「証券界の暴れん坊」と目されるSBIと金融庁、それぞれの思惑とは? 過去、銀行勤務時代に大蔵省との折衝を担当していた筆者によると、90年代の都銀再編時に官僚は「ごみ箱」構想を持っていたという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.