パワハラは減らないどころか増えている――加害者の典型的な言い訳と、決定的な「2つの見落とし」とは:見落としがちな“心のエアポケット”(5/5 ページ)
社会的な認知度が上がっても減らないパワハラ。厚労省の発表によれば、職場でのいじめや嫌がらせは、年々増えてきている。中には被害者が自ら命を絶ってしまうケースもあるが、そんな中、被害を拡大しないために見落としてはいけない“心のエアポケット”とは?
上司の仕事は「部下を追い込むこと」ではない
職場において、上司の役割は部下を追い込むことではありません。部下を成功に導き、部下とともに最大の成果を出すことです。そのためには常に注意深く部下の状況を観察し、適切な配慮を施すことが必須です。
一方、部下の側からすると、一度心のエアポケットに落ちてしまうと自力で這い上がるのは難しくなります。真面目な人ほど現状に耐えて頑張ろうとし、心のエアポケットに陥りがちです。心のエアポケットに落ちたことに自力で気付くことは困難です。そうならないように、できる限り予防する必要があります。
予防するには、定期的に休みを取るなど心身のメンテナンスをすること。それが職場においてもトータルで最も高い成果を出し続けることにつながります。今は働き方も多様な選択肢から選べるようになりつつあります。在宅勤務やワーケーションなど、職場との心身の距離を保ち、リセットしやすい働き方も心のエアポケットを回避する上で有効だと思います。
パワハラのように、優越的な関係を背景とした言動が相手の心身に苦痛を与える場は、職場に限られているわけではありません。家庭内、学校、友人関係など、あらゆる生活シーンにおいても同様に起こり得ます。
人が人を追い込むことによって、不幸な選択をしてしまう被害者も、させてしまう加害者も、どちらも生み出さないために――誰もが常日頃から、自分と周囲の人たちの心のエアポケットに注意を払っておく必要があるのです。
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