「国道16号」を越えられるか 首都圏スーパーの“双璧”ヤオコーとオーケー、本丸を巡る戦いの行方:小売・流通アナリストの視点(4/5 ページ)
コロナ禍で人口流出が話題となる首都圏だが、「国道16号線」を軸に見てみると明暗が大きく分かれそうだ。スーパー業界も16号を境に勢力図が大きく変わる。そんな首都圏のスーパー業界勢力図を、今回は解説する。
オーケーが他社を圧倒的に凌駕(りょうが)する指標がある。売場面積当たりの売上だ。要は同じスペースでどのくらい売上を出せるかという指標であり、小売業にとっての本源的な実力を示す。次の図表を見れば一目瞭然なのだが、オーケーの指標は似たような環境にいる同業他社を圧倒している。
オーケーの強みは、ただ安いというだけではなく、品質が担保された商品が安いという信頼を勝ち得ている点にある。実際、オーケーは日本生産性本部サービス産業生産性協議会が発表している顧客満足度に関する調査で、10年連続してスーパー部門のトップに君臨している存在であり、コストパフォーマンスに関して、日本屈指のブランドを構築した企業といっても過言ではなかろう。
「ロードサイド→都市部」の出世コースを先食いするオーケー
日本の有力小売業は、そのほとんどが地方からロードサイドマーケットを制覇してのし上がってきた。ファーストリテイリング(山口県)、ヤマダホールディングス(群馬県)、ケーズホールディングス(茨城県)、ニトリホールディングス(北海道)、ツルハ(北海道)、ベイシアグループ(カインズ、ベイシア、ワークマンなど・群馬県)など、名だたるトップクラス小売が地方出身なのだ。
これまで、首都圏の内側は既存市街地が多いことから、新規出店可能な場所が少なかった。そのため、競争が緩慢となり、小売の強者はほとんど現れなかった。中でも数少ない例外がオーケーであり、業界最強クラスのモデルを構築した上で、外側の有力企業が手をこまねいているうちに、16号内という国内最優良マーケットを着々と攻略し続けている。
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