コラム
「美白」や「はだいろ」が消える 日本は世界の動きについていけるのか:根強いアジアの「美白信仰」(4/4 ページ)
花王が「美白」表現を取りやめると報じられた。この動きは多様性に配慮したもので国内企業では初めて。しかし世界ではより一歩進んだ動きがみられると筆者は指摘する。
日本では「肌色」という色表現が問題視された。ファミリーマートは販売する肌着のカラーを「はだいろ」と表記したことで、社員や加盟店から不適切だという指摘が相次ぎ、自主回収を行った。「はだいろ」は色鉛筆やクレヨンなどでも使われてきた日本語表現だが、今やこの表現も「うすだいだいいろ」などに置き換えられている。
美白や「はだいろ」といった表現は、これまで見過ごしてきた問題の氷山の一角だ。化粧品のみならず、容姿に関わる不用意な表現はコンプレックスを引き起こす。例えば“ムダ毛”といったワードは、体毛の処理というパーソナルかつ自由な選択に対し「処理すべきもの」という固定観念の押し付けに他ならない。
体形やジェンダー、障がいなども本来は多様なもので、広告モデルのキャスティングなどに反映されるべき視点だ。山積する課題に対し、表現の変更は大きな影響をもたらす革新的な第一歩だといえる。
著者プロフィール
臼井杏奈(うすい あんな/ライター、編集者)
青山学院大学文学部卒業。産経新聞社の記者職を経て、ビューティー業界紙WWD BEAUTYで記者・編集職。2020年4月からフリーランス。中国や欧米などの海外市場やビューティーテック、スタートアップなどを中心に美容・ファッション関連の取材執筆を行う。
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