価格は「そのまま」なのに、なぜ沖縄のブルーシールは「容量20%増」に踏み切ったのか:発売初日で1か月分の売り上げ(2/4 ページ)
沖縄のアイスクリーム専門店「ブルーシールアイスクリーム」を展開するフォーモスト・ブルーシールが、店頭販売向けのカップアイスをリニューアル。内容量を20%増量し、発売初日で「例年の1カ月分」の売り上げた。コロナ禍で沖縄を訪れる観光客数が激減する中、なぜ増量に踏み切ったのか――。山本隆二社長に聞く。
コロナ禍で量販店での販売は2.5倍に
観光関係などの売り上げは減ったものの、山本社長は「“捨てる神あれば拾う神あり”でした」と振り返る。スーパーやコンビニなど量販店での販売は約2.5倍に伸びたことだ。巣ごもり需要の増大やギフトとしての人気を集めた。ふるさと納税も好調だ。「楽天ふるさと納税」ではアイス部門で1位を獲得、ふるさと納税のポータルサイト「ふるさとチョイス」では同部門で5位となった。
「沖縄に来る観光客は約85%がリピーターだといわれています。沖縄に行きたいけど行けず、沖縄を渇望している人がたくさんいました」(山本社長)
実際に、神戸市内に4月末オープンしたブルーシールのフランチャイズ店には、ゴールデンウイーク前に多くの人が押し寄せ、3時間待ちになったという。せめてブルーシールの味で沖縄気分だけでも、というニーズが表面化した結果でもあった。
しかし、山本社長は「実力以上だった」と言及したように、ブルーシールは沖縄観光の好調さの勢いに乗っていたとし「観光客が来ることを待ち構えていた部分がありました。これからはちゃんと実力をつけていかなければなりません」と気を引き締める。全国的に見た場合、競合となるサーティーワンアイスクリームには店舗売上で、ハーゲンダッツには小売売上で遠く及ばないこととなる。
ブルーシールがより一層向き合い始めたのは、同社の歴史と共に歩んできた沖縄県民だった。
多くの沖縄県民にとって、ブルーシールのアイスクリームはスーパーやコンビニで手にすることが多い。小売店のアイスクリームコーナーには必ずと言っていいほど商品がラインアップされている。
バニラアイスをココアビスケットでサンドした「ポーラベアー」(1970年代中ごろ発売)、2種類のフレーバーを1つのバーにしてチョコでコーティングした「ダブルフレーバー」シリーズ(2019年発売)などは、県内でも人気や知名度がある商品だ。
その中でも同社の代名詞ともいえるのが「カップアイス」だ。学校給食にも採用されており、沖縄県民にとって、味はもちろんパッケージも込みで馴染みのある商品だ。
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