価格は「そのまま」なのに、なぜ沖縄のブルーシールは「容量20%増」に踏み切ったのか:発売初日で1か月分の売り上げ(3/4 ページ)
沖縄のアイスクリーム専門店「ブルーシールアイスクリーム」を展開するフォーモスト・ブルーシールが、店頭販売向けのカップアイスをリニューアル。内容量を20%増量し、発売初日で「例年の1カ月分」の売り上げた。コロナ禍で沖縄を訪れる観光客数が激減する中、なぜ増量に踏み切ったのか――。山本隆二社長に聞く。
コロナ禍で再認識した「わったーアイス」
今回、そのカップアイスを4年ぶりにリニューアルした。希望小売価格は151円を維持したまま20%増量。前述のように、4月5日の初日だけで1カ月分が売れた。
リニューアル当初は、テレビCMを従来の約3倍流すなど積極的に広報活動を展開。店頭でも目立つように置いた。リニューアル商品発売から1カ月半以上が経つが、カップアイスの売り上げは、コンビニ1店舗当たりで週に15個程度だったものが、40個程度を維持するなど好調だ。
山本社長が繰り返し強調していたのが「わったーアイス」というフレーズだ。「わったー」とは、沖縄の言葉で「自分たち、自分たちの」という意味。「1948年の創業以来、ずっと沖縄に育ててもらいました。会社の大きさ的にも生産能力的にも、沖縄の規模感が本来合っているんですよね」と、観光客の激減があらためて足元を見つめなおす好機となった。
山本社長は「沖縄県外のみなさんにとって、ブルーシールは“希少性”があると思います。しかし、沖縄のみなさんには“愛着”を持ってもらっています」と、より深い部分でのつながりを大切にした。
「わったーアイス」をより定着させることは、翻って対外的なブルーシールのブランド力を強化することにもつながるという。「観光客が戻ってくるのが何年かかるのか分かりません。しかその時に『やっぱり沖縄と言えばブルーシールだよね』と言ってもらうためにも、沖縄の人に『わったーアイス』と言ってもらわなければならないと考えています。わったーアイスではない物を、県外からの人も沖縄で買わないじゃないですか」と山本社長は見据えて話す。
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