資生堂が撤退したアメニティーに商機 化粧品メーカーの新たな一手とは:コロナ禍の苦境を救う?(3/5 ページ)
化粧品がさまざまな場所で“活躍”している。コンビニのPB商品や、ホテルのアメニティー開発など、化粧品の可能性を広げる取り組みが増えた。
PB製造が化粧品メーカーにもたらすメリット
PBはローソンだけでなくファンケルグループにとってもプラスに働くものだという。ニコスタービューテックの楯忠宏ファンケルラボ統括部営業グループ課長は「自分たちのブランドではないが、ファンケル製造品が市場シェアを取れていることはメリットだ。『ナチュラルローソンスキンケア』はニコスタービューテックの名前が入っているが、その下部にニコスタービューテックがファンケルグループである旨の記載もあり、消費者との間接的タッチポイントでもある」と語る。
現在では、より「ファンケル」の名前を押し出した事業も行う。20年1月にはファンケルグループの生産技術を生かしたコンサルティング型OEM企業として「ファンケルラボ」(横浜市)を新設した。
メンバーや製造工場はニコスタービューテックと共通するが、「ファンケルグループが作っていることが信頼につながるため、ファンケルの名前を押し出したい企業が多かった。グループがもつ処方開発・生産のノウハウを活用し、より多くの製造受託に向けてアピールすることが狙い。現在、国内企業からの依頼の多くはファンケルラボが受けており、国外やファンケルの名前を押し出さない方針の企業はニコスタービューテックで受けている」と楯課長。
直近では、4月に発売した東急ハンズのオリジナル商品「カルメ(CALMER)」は、ファンケルラボで依頼を受けて製造している。
こうした動きも依頼が増えているからこそ。「以前から異業種からの依頼はあるが、3〜4年前から増えている。DtoCなどIT業界の参入や女性向け事業を行う企業の参入が多いが、最近では化粧品にまったく接点のない異業種からの問い合わせもある」(楯課長)
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