資生堂が撤退したアメニティーに商機 化粧品メーカーの新たな一手とは:コロナ禍の苦境を救う?(4/5 ページ)
化粧品がさまざまな場所で“活躍”している。コンビニのPB商品や、ホテルのアメニティー開発など、化粧品の可能性を広げる取り組みが増えた。
化粧品であらゆる場面に付加価値を生み出す
小売りのPBが来店動機を生み出すように、化粧品が“付加価値”として働く事例は増えている。ホテルアメニティーは滞在体験を高め、他施設と差別化できるツールとして再注目されるようになった。
その背景には、インバウンドや東京オリンピック需要を受けた新規開業増による競争の激化、ブティックホテルの登場や新型コロナ禍で人気が高まった“ステイケーション”(バケーションと滞在を合わせた造語)により滞在を楽しむ需要が高まったことが挙げられる。
20年4月に東京・竹芝に開業した「メズム東京、オートグラフ コレクション」(以下、メズム東京)は「ミシュランガイド東京2021」で4つ星に輝くラグジュアリーホテルだ。専用のバスアメニティー「THE BLEND(ザ ブレンド)」はメンズスキンケアブランド「BULK HOMME(バルクオム)」を展開するバルクオムが開発している。
バルクオムでアメニティー事業を取り仕切るスペシャルリテールディビジョンの木下達哉マネージャーは「メズム東京側から『BULK HOMMEをホテルに置きたい』とお声がけいただき、取り組みが実現した。メンズ向けブランドだが女性ユーザーも一定数おり、シェアドコスメとも呼ばれている。さまざまなお客が訪れるホテルには向いている商品ではないか」と語る。
「THE BLEND」はオリジナル製品だが、ベースは「BULK HOMME」の処方だ。パウチタイプの市販品から、ポンプ式のアメニティーに適したテクスチャーに変更。また、女性客を意識した保湿効果の追加のほか、香りも既存製品をベースに変更を加えた。
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