水害被害を“リモート”で推測 小型衛星で日本進出したフィンランド「ICEYE」の可能性:世界初(4/5 ページ)
8月は豪雨による被害が多かったが、現地の被害状況把握に役立てられている新技術がある。フィンランドを拠点とする宇宙ベンチャー「ICEYE」は、自社で開発した小型人工衛星により地表を撮影、そのデータをもとにタイムリーな被害推定データを保険会社に提供している。
世界に6拠点を持つ、期待の宇宙ベンチャー
現在、渡部氏は東京に拠点を置き、日本マーケットの窓口として日本企業のサポートや新規営業を担当している。以前は、米国の保険会社に所属し、シンガポールを拠点に勤務していたが、アイサイからのスカウトにより、この6月に転職を果たしたばかりだ。
「アイサイは、フィンランド、米国、英国など世界に6拠点を持ち、40カ国からメンバーが寄り集まったグローバルな環境です。資金調達の総額は1億5200万ドル(約167億円)、社員330人とスタートアップのなかでもレイターステージであり、宇宙業界に革新的なテクノロジーをかけ合わせた将来の期待値が高いジャンル。私が関わってきた保険業界とも接点があり、自然災害で役立つなど社会的な意義も大きい。こういった側面に非常に魅力を感じ、オファーを受けることにしました」
コロナ禍の面接ということで、一度もメンバーと対面することなく、ビデオ面接のみで正式採用。四半期ごとにフィンランドに短期滞在してメンバーと顔を合わせるものの、普段はフルリモートでアイサイの日本窓口を担う。
「週に40時間といった契約はありますが、あってないようなもので、自分自身で勤務時間をコントロールしています。現地時間に合わせて15時〜23時に打ち合わせが入りますし、現在の豪雨のような緊急のタイミングでは、週末も夜も関係ありません。それは現地メンバーも同様で、みな使命感を持ちながら、時にハードワークもいとわない姿勢で働いています。16時に帰宅するフィンランド人という一般的なイメージとは違いますね」
アイサイでは、渡部氏の入社と同時期に、リモートセンシング、衛星データ業界において25年以上の実績を持つ東誠氏が日本市場のゼネラルマネージャーに就任。今後12カ月以内に東京に事務所を開設し、10人のチームに拡大すると発表している。
「物事が走りながら動いていて、これまで勤務してきた大企業と比較すると、開発のスピード感がまるで違います。顧客とディスカッションしながら、まだ世の中にないサービスを一から作り上げるおもしろさがあり、スタートアップの醍醐味を感じる日々です」
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