超難関大学の米ミネルバと提携 なぜ社員6人のスタートアップが選ばれたのか:実現できた2つの理由(3/6 ページ)
福岡県糸島市を拠点とするスタートアップのこっから社が、ミネルバ・プロジェクトと提携を発表し反響を呼んだ。両社が実施する社会人向けリーダーシッププログラム「マネジング・コンプレキシティ」の内容と事業提携にいたった背景をこっから社に聞いた。
予習に2時間。授業の75%以上が「知的処理」
授業は週に1回2時間で、完全な反転学習方式を採用している。これは従来のインプット中心の授業とは真逆で、75%以上の時間をディスカッションやディベートなど、何らかの知的処理(アウトプット)に当てるというもの。インプットは、授業前に各個人で行うという。
「受講者は、毎回、英語の論文記事やケーススタディ3〜4本を事前に読み込み、課題を準備した上で授業に参加することになります。各人の英語レベルにもよりますが、予習は2〜3時間が目安です。1人でもできるインプットを授業に含めるのは時間のムダになりますし、1つのテーマをインプットとアウトプットを交えて考え抜くことで、脳に定着しやすくなる効果もあります」(黒川氏)
また、1つのテーマについて間隔を空けながら段階的に学習し、その内容をあらゆる文脈に応用・実践する「文脈横断・足場式学習」も取り入れる。必要なスキルを“分かる”ではなく、“できる”ところまで落とし込むためだ。
授業自体は日本語で行われるが、事前のインプットで指定される論文などはすべて英語になる。そのため、辞書や翻訳ツールを使いながら長文の英文を理解できる英語力が求められる。TOEICの点数など明確な基準は定めていないが、「大学受験で英語を勉強した人なら分かる程度」だという。黒川氏いわく「スキルより、時間をかけてでも読み込む気力があるかどうかが重要」とのこと。
授業で活用するツールは、ミネルバが独自開発した「Forum」というシステムで、受講者の集中を維持させるさまざまな仕掛けがある。上記写真のとおり、受講者の発言量によってアカウントが3種類の色で分けられるので、発言量が少ない人・多い人が一目瞭然。講師は、そのデータを見ながら発言の少ない人を多く指名するなど、誰もが能動的に授業に取り組めるよう取り計らう。
各生徒の授業中の発言やアウトプットした内容も、自動的に記録される。それをもとに、ファシリテーターは「このときのこの発言は、〇〇のスキルが不足している」などとピンポイントで指摘する。こうしたフィードバックにより、次に何をすべきかがクリアになるそうだ。
「予習が不十分だと授業に付いていけず、授業中は常に集中力を維持しなければいけない。これは、ミネルバ大学の授業とまったく同じです。それなりにハードですが、だからこそ確実に力になります」(黒川氏)
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