「駅のホームドア」が普及しているが、安全基準はどうなのか:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/8 ページ)
京王電鉄京王線で発生した傷害放火事件は記憶に新しいが、犯人の動機などは社会学、心理学の範疇(はんちゅう)で鉄道側としてはなんともしがたい。ただし、鉄道については「防犯」と「防災」の議論が起きた。ホームドアなどの関連する各種施設や機器とその運用、これまでの法令等を見ながら、課題や今後のあり方を考える。
防犯――自動改札を使ったランダム検査が有効か
鉄道の防犯については荷物検査の是非、監視カメラの充実、警備員、警察官の配備などが取り沙汰されている。類似事件として21年8月6日に小田急小田原線で起きた無差別刺傷事件、18年6月の東海道新幹線車内殺傷事件、15年の東海道新幹線火災事件が想起された。
18年12月に国土交通省は「鉄道運輸規程」を改正した。持ち込み禁止物を定めた第23条について、改正前は「爆発物、酒やアルコールなど引火性のあるもの、動物、不潔、臭気、座席や通路を塞いだり壊したりするおそれのあるもの」だった。主に火災予防重視で定められていた。
改正では一項目として「刃物」が明示され、ただし「同乗者に危害を及ぼすおそれのないように梱包したものを除く」とした。
「刃物」と「梱包」については別途「刃物を鉄道車内に持ち込む際の梱包方法についてのガイドライン(PDF)」が示された。「刃物」は「包丁類、ナイフ類(カッターナイフを含む)、牛刀、山刀、くり小刀、なた、鎌、はさみ、のこぎりなど。材質として鋼または同等のもの、とし、セラミック製も含む。
「梱包」については、刃渡り6センチメートルを超える刃物については「直ちに取り出して使用できない状態にしておく」とした。具体的には刃物全体を包装、刃先が露出しないように丈夫な袋や鞄にしまっておく。または小売店で購入した梱包状態を保持する。刃渡り6センチメートル以下の刃物は袋などに収納し、鉄道車内で使用しない。要するに刃を露出してはいけない。
この改正を受けて、鉄道各社も手回り品ルールを改正し、刃物は持ち込み禁止とした。ただし、ほかのお客様に危害を及ぼすおそれがないように梱包したものを除く。
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