DXで飛躍する出光興産・木藤俊一社長を直撃 「昭和シェルとの経営統合」の効果は?:ブリヂストンからキーマンを招へい(3/4 ページ)
石油元売り大手の出光興産が、昭和シェル石油との経営統合によるシナジー効果とDXによって、脱炭素が求められる新時代で飛躍しようとしている。DX銘柄にも選定された。出光興産の木藤俊一社長に新しいエネルギー時代に求められる将来像を聞く。
会社は人が育つための手段 目的ではない
――幹部人事面ではどう対応しましたか。
出身母体によって人事面で差別を受けない安心感を与えるよう心掛けています。役員構成は、統合した当初、出光3人対昭和シェル3人でしたが、両社の社員数や年齢の違いもあり、いまは4人対1人です。
執行役員以上でみると、出光が6で昭和シェルが4くらいの比率です。人事は全て、出身にとらわれず是々非々で経験、識見によりふさわしい人を登用しています。
――2020年度の業績はコロナ禍にもかかわらず、黒字になりました。21年度はどうみていますか。
20年度の上半期はコロナ禍による緊急事態宣言の発令で悲惨な状況で、売り上げは2〜3割も減少しました。それと比べると21年度は上手に経済を動かしながらやってきたので20年と比較すると良い状況です。ただ、8、9月は感染拡大により相当落ち込みました。
10月からは前年比でプラスになっていますが、コロナ禍前の前々年と比較するとガソリンの販売量は4〜5%マイナスとなっています。21年度は数量的には多少厳しいですが、価格変動による在庫評価益を除いても堅調な収益を確保できるとみています。
11月に発表した第2四半期(7〜9月)の決算は大幅な増収増益となりました。22年3月期の業績予想も同様に大きく好転する見通しです。ただし、これは資源価格高騰という外部環境による在庫評価益が寄与しており、手放しで喜べるものではありません。
――政府は、ガソリン価格が急騰した際に、元売り石油会社に補助金を出す方針のようですが、元売り会社としては歓迎しますか。
現場の運用面においてはさまざまな課題がありますが、資源価格高騰に伴いガソリンをはじめとする石油製品の価格上昇が国民生活に影響を及ぼしている現況に鑑みて、政府による当該対策事業における燃料油価格抑制制度が発動される場合には、当社は補助金相当分を特約販売店などへの卸価格に全額反映させる方針です。
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