コラム
特急料金がさらに細かく! JR東などが「最繁忙期」を新設した本当の狙いは:4月から(3/5 ページ)
JR東日本、JR西日本、JR北海道は4月1日乗車分から、シーズン別の指定席特急料金を改定する。既存の「繁忙期」「通常期」「閑散期」に加え、「最繁忙期」を新設。どんな狙いがあるのだろうか。
JR九州、在来線特急料金改定&繁忙期設定
これまで、JR九州ではJR北海道と同じように、シーズン別の特急料金を設定していなかった。4月1日からは「繁忙期」と「通常期」を設けるが、「閑散期」は設けない。その上、特急料金は値上げすることになる。
100キロまでは通常期で1480円だったところ、4月以降は1730円。これが繁忙期になると1930円。けっこうな値上げだ。
JR九州は、経営状況が厳しい。こうした環境を受けて値上げに踏み切ったと考えられ、さらに繁忙期を設定した。JR九州の在来線の場合、比較的利用者が少ない一方、ひんぱんな運行というサービスを高速バスへの対抗上やらなくてはならないため、その分の負担を乗客にお願いすることになる。
料金設定の変更は成功するか?
JR東日本などは、名目上は乗客の利用を平準化する戦略で新しい価格設定を設けることになった。あえて最繁忙期を設けることで利用者を減らし、閑散期に利用してもらい、最繁忙期の運行に関する負担を減らす。
ただ、最繁忙期には料金がアップするので旅行を断念し、仕事の都合上、閑散期にも出かけられない人が増えるのではないだろうか。特に家族連れの場合である。独身かつ有給休暇を取りやすい人をターゲットにすることも考えられるが、そういった層は決して多くはないはずだ。
JR九州はコロナ禍が長く続き、それゆえに疲弊した状況にある。値上げによってカバーするしかない。戦略性は感じないが、これはまた仕方がないだろう。
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