どうすれば新人営業は成果を出せるのか? まず上司がやるべきこととは:即戦力人材に育てる(2/3 ページ)
新入社員が入社して3カ月目に入る。4、5月は慣らし期間だが、6月にはそろそろ何か営業職として成果を出してほしいと思うものだ。成果を出してもらうために上司はどのようなコミュニケーションを取るべきか、自発的に営業という仕事に取り組んでもらうためにはどうすればいいか、その方法を解説する。
誰かに相談するという習慣が失われた世代
新卒として入社する世代は、いわゆる「デジタルネイティブ世代」に当たる。幼少期からインターネットが身近に存在していた1990年以降に誕生した世代を指す。学生のころからスマートフォンを使いこなし、分からないことはインターネットで検索して解消。簡単に情報にアクセスできる状態が当たり前なので、そもそも人に相談する、質問するといった習慣が身に付いていない可能性も考えられる。そして、それが仕事の場でも起こっているのかもしれない。
自分で調べてやってみて、成功や失敗の経験から学ぶというサイクルも重要だ。一方で成果を出すためにはハイパフォーマーから学ぶことも必要だと思うのが筆者の考えだ。新入社員に見せて、やらせて、改善点をフィードバックする。新入社員側が積極的になれないのであれば、まずは上司が歩み寄り、自分のやり方に巻き込んでいくしかないだろう。
新入社員への具体的な働きかけはどうすればいい?
実際に、筆者が若者とコミュニケーションを取っている方法を例に挙げてみたい。筆者は13年前から大学の講師をしている。この春、3年ぶりにリアルの大学の授業が再開した。以前から感じてはいたものの、今期はとくにコミュニケーション能力が低い学生が目立つ。
こちらが声をかけるまで話をしてくれない学生がほとんどだ。一度話し始めれば、会話が弾むことが多いにもかかわらず、積極的にコミュニケーションを取ってくる学生は極めて少ない。
この状況を改善するために工夫していることがある。授業の課題をメールで提出する際に「今日の授業について必ず一つ質問するように」とアナウンスするようにした。すると多くの学生から質問が寄せられた。授業で回答するときもあれば、直接説明することもある。メールというツールを媒介することで、コミュニケーションが取れるようになった。
「なにか分からないことがあったら質問するように」と伝えても「忙しそうだし、こんなことを聞いていいのか」「自分で調べたほうがいいかもしれない」と遠慮する新入社員もいるだろう。ツールを利用し、新入社員に対して「1日一つ疑問点をメールで送る」といった業務を習慣化させるところから始めてみる。コミュニケーションのきっかけを増やすことが目的なので、質問が無ければ「1日の活動報告」でもいい。
「上司にもっと気軽に質問していい」「分からないことは聞いていい」といった部下の心理的安全性を高める動きが上司側に求められる。このような積み重ねが「成果を出す営業」の第一歩となる「自分から情報を取りにくる部下」を育てることにつながる。
その後も直接相談をしてこなくても、営業プロセスでつまずいている箇所を見つけてマネジャー側から継続的に話しかけに行くことも不可欠だ。例えば、なかなか新規アポが取れない新人営業には「新規アポ獲得に苦戦しているみたいだが、どの辺でつまずいているのか?」と具体的に聞いてみるといい。
「テレアポでは緊張して言いたいことが言えない」「相手のリアクションが見えないのが不安」など新人も具体的な悩みを返してくれるだろう。まずは「自分も新人のころは苦手だった」とできない状態を受け入れ、トークスクリプトの作成やロープレなどの解決策を提示する。
トークスクリプトの作成とロープレまでをセットで一緒に行い、「明日からこのスクリプトで30件アタックしてみて、報告してくれるかな」と具体的な行動目標を共有する。翌日、時間を取ってうまくいった点とうまくいかなかった点を分析し、次回に生かす。新規アポの獲得という成功体験を数件獲得するまで根気強く並走することが重要だ。一度、自分の中で成功体験を得ると、「あの時できたのだから」という気持ちで取り組めることも少なくない。
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