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日本のクラウンから世界のクラウンに その戦略を解剖する(2)池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/7 ページ)

1955年のデビュー以来67年15世代に渡って、クラウンは日本国内専用モデルであり続けた。しかし国内のセダンマーケットはシュリンクの一途をたどっている。早晩「車種を開発生産していくコスト」を、国内販売だけで回収することは不可能になる。どうしてもクラウンを存続させていこうとすれば、もっと大きな世界のマーケットで売るしか出口がない。

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戦略上の2つの勝算

 戦略上の勝算と成り得るポイントは2つだ。これまで縷々(るる)述べて来た通り、国内インフラ前提のボディサイズの縛りを撤廃した。当然国内ユーザーからは激しい抵抗もあるだろう。それが予想されたからこそ長年の縛りに甘んじてきたのだ。

 が、しかし、この縛りを棄てることでのメリットもまた大きい。そこに「もっといいクルマ」戦略で熟成させてきたTNGAが組み合わさる。メリットを挙げてみれば以下の通りである。

  • 室内寸法が広がる
  • トレッドの拡大によって、運動性能が向上する
  • サイズの拡大で増えたリソースの一部をデザインに回せば、よりデザインの自由度が高まる

 平たくいえば、大型化の不便と引き替えにクルマの性能はあらゆる面で向上する。入れない停められないケースでは万事休すだが、一方でそういう制約が無い場面のみを見れば、クルマのトータル商品力が大きく向上するのだ。

 もうひとつは、67年もの長きに渡って溜め込んできたセダン作りのノウハウである。いやこれはむしろクラウンだけの話ではなく、トヨタのクルマ作りノウハウの集大成といったほうがいいのかもしれない。

 日本国内で培って来た戦略を世界で試してみる。それが本当に通用するかどうかは、これもやってみるまで分からないが、試してみる価値はあるだろう。


新型クラウンのセダンモデル

新型クラウンのセダンモデル

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