観光シーズンなのに沖縄でレンタカーが不足しているワケ:えっ、中古車を買う人も(3/4 ページ)
夏の沖縄観光シーズン真っ盛りの8月、沖縄ではある問題が生じていていた。観光客の足になるはずのレンタカーが不足していたのだ。なぜ?
ホテルも飛行機も予約したのに旅行自体をキャンセルする人も
8月23日から27日にかけて、沖縄本島や宮古島、その周辺離島を訪れたという東京都の女性(26)は、1日あたり6000円前後でコンパクトカーを借りることができた。「沖縄に詳しい友人から『沖縄のレンタカーが不足している』という話を聞いていました」と、約2カ月前から予約していたという。
タイミング次第で、沖縄観光の基本的な移動手段でもあるレンタカー入手に差が付くことになってしまう。レンタカーが借りられず困っている人々の悲しそうな声をすぐそこで聞いていたのは、他ならぬレンタカーショップのスタッフだ。
那覇市内のレンタカー事業者に従事する40代男性は「コロナ前の閑散期では1日3000円代のコンパクトカーが、この夏の繁忙期や今年のゴールデンウイークでは、1日3万円近くまで値上がりしました」と話す。「お客さまの気持ちになると心苦しいです。特別良い車を出しているわけではないのに高額すぎます。せめて業界が足並みをそろえて上限額を定めて値上がりに歯止めをかけることもできたのではないでしょうか」と現場の立場で提言する。
一方で「この2年間の赤字を埋め合わせるために、高額でも良いから車を貸して黒字化しなければならないという状況もあったはず」と、会社サイドにも思いをはせる。
「ホテルも飛行機も予約していたのに、最後の最後でレンタカーが借りられずに沖縄旅行そのものをキャンセルした人もいます」と男性は語る。問い合わせの電話に対しては、レンタカー事業者でありながら、タクシー貸し切りや高速バスなど、他の交通機関の案内もしていた。どうにか沖縄を楽しんでほしいという気持ちがあったからだ。
お盆休みが近づいてきた時期には、全国的な新規感染者増加などもあり、キャンセルが相次いだという。「それで値崩れして、安くなったんですよ。ワゴン車でも1日6000円とか。前々から予約してコンパクトカーを1日3万円とかで借りていた人がバカを見てしまいました」と複雑な心境をのぞかせる。
沖縄県レンタカー協会に対しては行政との連携を進めることを望んでいる。「沖縄県と連携して、中古車店から車両をリースするとか、県外で車両が余っているところから一時的に融通してもらうとか、できなかったんですかね。行政への要請活動もしているようですが……」と話す。
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