上司に言い出せない“爆弾” 悪い報告をするときの3つの心構え(1/4 ページ)
頼まれた仕事の進捗が生まれないとき、どうすればよいのか。上司に悪い報告をするにしても、どのように報告すべきなのでしょうか。人材企業の代表を務める著者のマネジメント経験をもとにお答えします。
頼まれた仕事の進捗(しんちょく)状況が芳しくなく、もう少し進めたら報告しようと先延ばしにしているうちに上司から雷が落ちる……。そんな“爆弾”を抱える投稿をSNSなどでしばしば見かけます。進捗が生まれないとき、どうすればよいのか。また上司に悪い報告をするとしても、どのように報告すべきなのでしょうか。人材企業の代表を務める著者のマネジメント経験をもとにお答えします。
まず、なぜ報告がしづらいのかを考えてみると、「上司に怒られるのが怖い」「なんとか自分で解決しないと自身の評価が下がる」という心理が働いているように思います。私自身も「絶対に報告したくないな」ということはたくさん経験してきましたので、気持ちは分かります。しかし「進捗が悪くて報告しづらい」というものだけでなく、業務上のミスや「忘れていた」「やっていなかった」などの凡ミスがあった際に、それを隠した途端に不幸の連鎖が始まっていきます。悪い報告ほどいち早くしなくてはならないのです。
なぜなら、報告が早ければ早いほど対策が取れるからです。中には「時すでに遅し」なこともあるかもしれませんが、その中でも悪い報告によって、一つ二つ先手を打って、より大きなトラブルを未然に防げるかもしれません。
悪い報告は早ければ早いほど歓迎される
例えば「個人情報を漏えいしてしまった」などの致命的なミスをしてしまった場合、ミスを起こした本人が隠し続けた結果、ユーザーからの問い合わせで漏えいが発覚し、さらに何らかの不正アクセスで情報が拡散されてしまう、もしくは金銭にかかわるトラブルに発展してしまう──など、より大きな損害に飛び火してしまいます。そこまで事態が悪化してしまうと、企業にとっても本人にとっても名誉挽回は難しくなってしまいます。
もし漏えいが起きてしまった段階ですぐに悪い報告ができていれば、被害の拡大を食い止められるでしょうし、企業側から先んじて情報発信することで信頼のダメージを軽減することも可能でしょう。そのように報告が早ければ早いほど、二次被害など拡大していく損害に対して、防止策の検討時間をとれるようになります。「早さは強さ」とよくいいますが、「報告の早さ」は効果の高い対策を講じるための強さにつながります。迅速な悪い報告は、結果的に自らの名誉挽回の機会を作ることになるのです。
「悪い報告は早ければ早いほど歓迎される」実例として、以前、私が家電メーカーから委託された、工場のライン請負案件の営業責任者だったころのエピソードをご紹介しましょう。
製造工場では、ベルトコンベヤーに乗せて大量の製品を製造するのですが、見た目では分からないような小さな部品の取り違えなどによって、大量の不良品を製造してしまうなど、とんでもないトラブルを引き起こす可能性があります。ましてやその不良品が小売店まで流通してしまった場合は取り返しがつきません。当時そのメーカーの案件ではトラブルが重なり、すでに複数回にわたって顧客に謝罪しているような状況でした。
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