高級食パンブームを起こすつもりはなかった 乃が美のパンを日常食にするために「変えること」と「変えないこと」:過当競争後の生き残り方(2/4 ページ)
高級食パンブームをけん引してきた乃が美。情報発信やフレンチレストランのシェフとコラボ、社内のアイデアを募るなど新たな取り組みに力を入れている。高級食パンブームに陰りが見える中、何を変え、何を変えないのかを取締役に聞いた。
ブームに陰り 乃が美の選択
乃が美は4月、それまで販売していた「生」食パンを、創業当時の素材配合にした『復刻「生」食パン』に期間限定で全て切り替えた。1カ月で100万本以上を売り上げるなど好評を得て、7月からは『創業乃が美』と名前を変えて常時販売している。
さらに、独自に開発した「おこげ製法」で、食パンではタブーとされていた焦がしを生かした『黒山乃が美』を同時に発売した。2つの商品を発表した際には、乃が美として初めて商品発表会やメディア向けの試食会を開催している。
これらの新しい取り組みは、一般的に高級食パンブームが陰りになったと言われ始めてから打ち出したものでもある。小林氏は、ブームの陰りを乗り越えるために意識していることを、次のように説明した。
「変わらなければいけないことと、変えてはいけないことがおそらくあると思っています。当社が変えてはいけないことは、創業当時からの志です。おいしい食パンをお召し上がりいただいて、暮らしを豊かにしていきたいというミッションですね。『創業乃が美』を発売したのは、社外に志を伝えるのはもちろんですが、社内に向けてもこれは変えてはいけないものだというメッセージを発信できたと思っています。
一方で変わらなければいけないことは、過当競争の中で乃が美はお客さまからどのように利用されて、何が望まれているのかについて、しっかりと耳を傾けることです。その上で今まで以上に発信をしていく必要があると思っています。
これまでマーガリンを使っている時点で高級ではないとか、こんなに値段が高いのはおかしいといったコメントがネット上に寄せられていました。実際にはマーガリンは健康に害のないものを使っているのですが、メッセージとして発信できていませんでした。変えてはいけないことと、変えなくていけないことをしっかりと仕分けして対応していきたいです」
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