「地獄に墜ちてほしい」騒動で浮き彫りに? 音楽サブスクで得するミュージシャン、損するミュージシャン:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(2/4 ページ)
シンガーソングライターの川本真琴氏が26日、自身のSNSで音楽のサブスクリプションビジネスについてのぼやきととられる場面があった。ただし、この点についてはミュージシャンの間でも見解が分かれるようだ。
令和アーティストはサブスクやYouTubeの無料公開を支持
ただし、この点についてはミュージシャンの間でも見解が分かれるようだ。
2012年にメジャーデビューしたロックバンド、クリープハイプの尾崎世界観氏は、24日に自身の出演するラジオで「CDを出してた時よりも、幅広く聴かれてるって印象がある」と指摘している。サブスクによってCDなどの歌そのものの製品は売れなくなってきているかもしれないが、曲が聴かれることでライブなどの体験を重視した活動で稼いでいくという方向性も示した。
確かに、近年ではYouTubeにミュージシャンや所属レーベルの公式チャンネルが公式の音源を無料で公開することも珍しくなくなった。例えば、映画「君の名は」の主題歌である、RADWIMPSの「前前前世」は本人がYoutubeで無償公開しているが、その再生数は映画版・オリジナル版合わせて3億回近く再生されている。
YouTubeには企業が自身の製品を宣伝するためにGoogle広告システムで自身の動画を宣伝することができるが、この仕組みでは対象地域や配信方式にもよるが1再生あたり5円程度かかる。
そうすると、もし3億もの再生回数を自身で広告プロモーションした場合、15億円近い広告費が必要となるところ、コンテンツの公開によってそれが無料の「広告効果」として消化されるだけではなく、再生数に応じた収益も期待できるYouTubeでの楽曲フル公開という方式は現代に沿った考え方なのかもしれない。
他にも現役大学生のシンガーソングライターでZ世代からの支持を集めるVaundyは、自身の新曲MVをYouTubeでライブ公開するという楽曲公開方式を採る点で特筆すべきだろう。同氏はSNSでファンに向けてYoutubeで一緒に見ることを呼びかけており、各局にはファンが公開と同時にリアルタイムで新曲の感想がチャットに投稿されている様子が確認できる。
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