ツイッター3700人、メタ1.1万人 海外IT企業で進む人員整理 国内エンジニアバブルへの影響は?:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(2/3 ページ)
イーロンマスク氏によるツイッターの買収で従業員の大量解雇が話題となる中、今度はメタが1万人超の解雇を発表。大きく揺れるIT業界だが、視点を移すと国内ではいまだに人手不足からエンジニアバブルが続いている。
米国を中心に超大手テック企業が相次いで人員整理に追われているということは、当然ニュースになっていないテック企業でも、今後幅広く人員整理が行われていくことが想定される。とりわけ、21年までは非常に需要も旺盛で、賃金や報酬単価が青天井となっていたエンジニア関連の職種領域では、あぶれた人材が今後、一気に市場にあふれてしまうことになる。
そんな状況で今後考えられる現象が、人件費における単価水準の下落と、労働者同士の競争である。東京ハローワークが毎月公表している「職種別有効求人・求職状況(一般常用)」によれば、エンジニア職に相当する「情報処理・通信技術者」は、22年9月時点で都内1万7227件の有効求人に対し、5899人の有効求職者がいる状況だ。有効求人倍率は2.92倍にものぼる。一般に、有効求人倍率が「1」を上回ると、求職者よりも求人が多くなるため、求職者側に有利な「売り手市場」となる。
「情報処理・通信技術者」の有効求人倍率は、上述したように、22年9月時点で2.92倍。5年前の同時期に毎月4000人程度であった有効求人者数が、生産年齢人口の下落にもかかわらず足元で6000人近くまで増加しており、今では全専門的職業の中でもトップの求人シェアを誇るようになっている点に注目したい。
GoogleTrendsの検索データを確認すると、「エンジニア 未経験」というキーワードの検索ボリュームは16年から一貫して上昇しており、足元では最大となっている反面、例えば「製造業 未経験」や「建設業 未経験」といった検索ワードはそのボリュームと比較すると無視できるほど小さい。
実際にやってみると分かるが、Googleで「エンジニア 未経験」と検索すると「未経験でも年収500万円が可能」といった広告やインフルエンサーの体験談がヒットする。国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の年間平均給与は433万円である。未経験でいきなり国民の平均以上の金額が稼げてしまうのであれば、夢のような話だ。他業種と比較して、エンジニアがこれほど「未経験」とセットで検索される背景には、こうした“ITドリーム”的な事情も大いにあることだろう。しかし、裏を返すと高待遇を構成しているのは本人の技量ではなく、労働市場の逼迫(ひっぱく)という外的要因であることを強調したい。
関連記事
- 7割が「不満」 冬ボーナスの支給金額 3位「5万〜10万円」、2位「30万〜50万円」、1位は?
ヒューネルがボーナスに関する調査結果を発表した。最も多くの人が回答した金額帯はいくらだったのか? - 日本企業の課長職、貯蓄平均は「1550万円」 年収の平均は? 業務内容で大きな差 毎月のお小遣い額も明らかに
ビジネスコーチが「日本の課長」に関する調査を実施。年収や毎月のお小遣い、理想の上司/部下などを課長1000人に調査した結果が明らかになった。 - 温泉宿のクチコミランキング 3位「伊香保温泉 ホテル木暮」、2位「効能溢れる癒しの湯治宿 玉川温泉」 1位は?
楽天トラベルが「お風呂のクチコミ評価が高い温泉宿ランキング」を発表した。クチコミを基に、1〜10位までをランク付けしている。その結果、3位には伊香保温泉、2位は玉川温泉の宿がランクイン。果たして1位はどこだったのか? - 都道府県別、人気の移住先ランキング 北海道、兵庫県を抑えた1位は?
移住・関係人口促進サービス「SMOUT」を運営するカヤックが、約4万人のユーザー動向から調査した人気の移住先ランキングを発表した。市区町村と都道府県別にランク付けしている。 - 初デートで「なし」なメニュー 3位「ギョーザ」、2位「ジビエ」、1位は? ファミレス容認派の割合も明らかに
ホットペッパーグルメ外食総研が初デートでの「あり」「なし」ランキングを発表した。SNSで話題になることも多い「ファミレス初デート」容認派の割合や、「あり」「なし」な店・メニューが明らかになった。 - 4000人に聞いた「好きなお菓子」、1位は? 今夏売れたアイスも明らかに
プラネットが、おやつ・お菓子に関する調査結果を発表した。4000人規模の調査から、好きなお菓子や今夏売れたアイスが明らかに。 - ドミノ・ピザ、値下げキャンペーンの一方で“6%値上げ”していた 告知不十分で不満の声も
ドミノ・ピザが10月3日から、デリバリー・持ち帰りを問わず全注文に対してサービス料を徴収し始めた。現状、告知は公式Webサイトやメールマガジンのみで、告知の不十分感が否めない。なぜ、今なのか。そして、いくらかかるのか。広報担当者を取材した。 - 儲けを取るか、顧客を取るか 苦境続く新電力 石川電力の自己破産は氷山の一角?
10月4日に自然電力がサービス終了を発表し、10月6日には石川電力の自己破産が報じられるなど、苦境が続く新電力。最近では収益性向上のために「市場連動型」の料金プランを導入する企業も出始めているが、茨の道といえそうだ。 - 「ジーユー以上、ユニクロ以下」の価格帯で勝負 FOREVER21、日本市場で“三度目の正直”となるためのカギは?
2023年、日本市場への再チャレンジを発表したFOREVER21。過去に二度の撤退を経験しながら、今回を“三度目の正直”とできるか。勝負する価格帯は、「ジーユー以上、ユニクロ以下」となり、激しい価格競争も想定される中、成功のカギはどこにあるのか。専門家が分析する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.