HPのパーソナルシステムズ事業責任者に聞く日本戦略:ハードからソリューションへ(1/5 ページ)
米HPのパーソナルシステムズ事業担当プレジデントのアレックス・チョウ氏に、日本での事業展開を聞いた。
新型コロナウイルスで、もし功の部分があるとするならば、在宅勤務ができるようになるなどオンラインに関するテクノロジーが発展、拡大したことだろう。
パソコンやその周辺機器などを扱う米HPは、テクノロジーを担う代表格の1つだ。ただ、同社の第4四半期(8〜10月)の売り上げは前年同期比で11%減の148億ドルだった。消費者が支出を控え、パソコンの販売が減少したことなどが原因だ。
また、2025年度までに全従業員について4000〜6000人、最大で全従業員の12%を削減する計画も明らかにしている。
同社パーソナルシステムズ事業担当プレジデントのアレックス・チョウ氏に、日本での事業展開を聞いた。
日本市場の声が反映されたパソコン
HPの主力商品としてパソコンがある。2019年に発売した「ドラゴンフライ」は日本市場の声が反映された商品だ。どういった機能を盛り込んだのか。
チョウ氏に尋ねると「日本のお客さまの声をたくさん聞いてきました。日本市場では薄型、軽量であることが第一に重要なのです。そこで1キロ以下にしました」と話す。
米国は車社会であるため、これまでパソコンの重量はあまり気にしないところがあった。また、軽量化しすぎると強度が落ちて耐久性の問題が発生することもあり、軽量化は最重要課題ではなかった経緯がある。しかし、日本の顧客の意見を採用した結果、日本以外の各国でも受け入れられたという。「ほかにも、仕上げや手触りにプレミア感があること、そしてセキュリティも重要な点でした」と付け加える。
一方で、日本のガラパゴス携帯に代表されるように、ローカル市場に最適化しすぎると世界基準とはかけ離れ、世界では通用しない製品になってしまう。ガラパゴス化しないためには、逆にどの部分の声をあえて聞かかなったのだろうか。その判断基準を聞くと、「そのための完璧な解はありません。ただ、新型コロナの影響などもあり1つの市場での体験は、ほぼ世界でも共有できるものになってきています」と話す。
新型コロナによる世界共通の災いが、ガラパゴス性を結果的に薄めているとの認識を示した。
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