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日の丸半導体「ラピダス」の勝算 “周回遅れの惨状”から挑む「最後のチャンス」人材の確保がカギ(5/5 ページ)

政府は、経済産業省が中心となり欧米との国際連携を軸に次世代半導体の量産する新会社「ラピダス」と、研究開発拠点である技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC)をセットにした半導体産業の復活を掲げる基本戦略構想を打ち出した。

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鍵を握る人材の確保

 次世代半導体を量産する「器」はできた。しかし実際に量産するためには先端半導体の設計、製造を担う優秀な人材が求められる。しかし、日本の半導体産業は1990年代以降、約30年近く低迷してきた。そのため、多くの優秀な人材が職を求めて韓国など海外に多く流出してしまった。

 これについて「ラピダス」の小池淳義社長は「優秀な人材は呼び戻したい」と発言している。だが、果たして戻ってきてくれるかどうかは不確かだ。「『日の丸半導体』を作るので日本のために戻ってきてほしい」という都合の良い説得工作が功を奏するかどうか。

 いま半導体関連の優秀な人材、とりわけ2ナノクラスの最先端分野の設計、製造部門を担うエンジニアは文字通り世界中で引っ張りだこの状態だ。こうした人材を集めるのは容易ではない。単に札びらをちらつかせて高い報酬を支払うだけでは集めるのは難しいのだ。研究開発体制を含めた満足感の得られる職場環境を用意しなければ、将来的に役立つ人材を得るのは厳しくなっている。

失敗は許されない

 経産省は半導体事業を支援するため、22年度補正予算として、次世代半導体などに計約1兆3000億円を計上した。21年度の補正予算でも6170億円(先端半導体生産基盤整備基金)を組んで、TSMCが熊本県に建設する工場などへの助成を決めている。

 半導体は数年ごとに技術革新が起きる装置産業だけに、今後も兆円単位の資金がつぎ込まれる見通しだ。巨額の税金がつぎ込まれる官民共同プロジェクトだけに、この構想が計画通りに進んで日本経済の発展に役立つかどうか注意深く見守る必要がある。これだけ巨額の投資を決めた以上は、後戻りもできないし、失敗は許されない。

 世界の先端メーカー、研究機関とタッグを組んだ一大プロジェクトが日本経済の行く末を左右しそうだ。

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