侍ジャパンのWBC試合会場はなぜ東京ドームなのか “そもそも論”を直球質問してみた:「巨人の本拠地だから」ではない?(2/2 ページ)
野球の世界一決定戦「ワールドベースボールクラシック」(WBC)で東京ドームは今大会、侍ジャパンの全5試合を開催した。どのような経緯で会場になったのか。共同主催者の読売新聞社に、“そもそも論”を聞いた。
「読売が主催者だから」という単純な理由ではなかった
一般的に「読売」と認知されている組織は、読売新聞グループ本社をトップとし、そこに新聞発行を手掛ける3本社(東京・大阪・西部)や、グループ関連会社としてプロ野球球団を運営する「読売巨人軍」(巨人)などが名を連ねる形で構成されている。言論誌「中央公論」の発行元である中央公論新社や、遊園地などのレジャー施設を運営する「よみうりランド」も関連会社の扱いだ。
【訂正:2023年3月18日午後7時10分 記事初出時、言論誌「中央公論」の発行元を中央公論社としておりましたが、正しくは「中央公論新社」です。訂正してお詫びいたします。】
一見すると、大会主催者が読売新聞社であることから、巨人の試合をメインで開催する東京ドームが試合会場になったとも考えられる。だが、実情はそんな単純なことではないようだ。
グループ本社広報部は「前提として、WBCは過密スケジュールで雨天順延の難しい大会で、ドーム球場での開催が求められる」と指摘。「東京で開催する大きな理由の1つは、参加チームが効率的に移動できるという点がある。国際大会の開催実績が豊富である点も理由として挙げられる」とコメントした。
日本国内には「福岡PayPayドーム」(福岡ソフトバンクホークス)、「京セラドーム大阪」(オリックス・バファローズ)、「バンテリンドームナゴヤ」(中日ドラゴンズ)、「ベルーナドーム」(埼玉西武ライオンズ)など各球団が本拠地とする複数のドームがあるが、WBCではアクセス面や国際大会での実績が重視されているようだ。
この中では、福岡PayPayドームのみ、13年の第3回大会で侍ジャパンの試合を開催した実績があるが、以降は東京ドームでの開催が続いている。
「入場券の販売が好調だった」 来場者にも謝意
今大会の、東京ドームでのWBCの試合開催はイタリア戦が最後となった。侍ジャパンの試合では観戦チケットが完売するなど、盛況だった。盛り上がりは、東京ドーム内で販売するグルメにも波及し、高額な弁当の販売も好調だった。
(関連記事:侍ジャパン人気、食に波及 東京ドームで「高額弁当」“バカ売れ”のワケ)
チケット販売に関しては読売側も同様の認識のようで、グループ本社広報部は「過去の大会と比較して入場券の販売が好調だった。テレビの視聴率も高いことから、大きな反響をいただいていると感じている」との受け止めを示す。多くのファンが来場したことには「多くのお客様にご来場いただいた。大会が盛り上がりを見せたことは、主催者として大変ありがたいことだと考えている」と謝意を示した。
侍ジャパンはイタリア戦の直後に渡米。3月21日に迫った準決勝に備える。22日の決勝まで今後も大会は続くが、侍ジャパンが戦った全5試合の盛り上がりを、3月末に迫ったプロ野球開幕につなげられるか。
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