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なぜ、セブン&アイは「ガソリン高騰でもうかっている」のか:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(3/8 ページ)
決算書から日本経済を読み解く本連載。今回はセブン-イレブンやイトーヨーカ堂などを運営しているセブン&アイ・ホールディングスを取り上げていきます。
大幅な増収増益 どの事業のおかげ?
こうした流れの中で、直近の業績はどうなっているでしょうか。23年2月期の第3四半期までの業績を見ていきます。
売上高は前年同期比43.5%増の8兆8237億円、営業利益は30.4%増の3948億円、経常利益は31.2%増の3702億円、純利益は34.2%増の2347億円と大幅な増収増益で非常に好調となっています。もう少し詳しく業績を見ていきます。
セブン&アイの事業セグメントは
- (1)国内コンビニエンスストア(セブン-イレブン)
- (2)海外コンビニエンスストア(海外のセブン-イレブンやSpeedway)
- (3)スーパーストア(イトーヨーカ堂やヨークベニマル)
- (4)百貨店・専門店(そごう・西武など)
- (5)金融関連(セブン銀行など)
と5つあり、それぞれの事業の業績の推移は下記の通りです。
- (1)国内コンビニエンスストア:売り上げ6716億円(1.5%増) 利益1853億円(4.5%増)
- (2)海外コンビニエンスストア:売り上げ6兆6282億円(88.3%増) 利益2275億円(82.3%増)
- (3)スーパーストア:売り上げ1兆648億円(20.4%減) 利益12億円(88.0%減)
- (4)百貨店・専門店:売り上げ3373億円(33.9%減) 利益86.1億円の赤字→7.9億円の赤字
- (5)金融関連:売り上げ1457億円(0.2%減) 利益299億円(1.1%減)
特に好調だったのは海外コンビニエンスストア事業で、国内ではコンビニはわずかながら増収増益、イトーヨーカドーも含んでいるスーパーストア事業は減収減益で不調となってしまっています。
Speedwayの買収や構造改革なども行っていましたが、その積極的な海外展開の好影響が大きかったことが分かります。続いて各事業についてもう少し詳しく見ていきましょう。
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