なぜ、セブン&アイは「ガソリン高騰でもうかっている」のか:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(4/8 ページ)
決算書から日本経済を読み解く本連載。今回はセブン-イレブンやイトーヨーカ堂などを運営しているセブン&アイ・ホールディングスを取り上げていきます。
優等生・ヨークベニマルと赤字のイトーヨーカ堂
イトーヨーカ堂を展開するスーパーストア事業は、大幅減益となりつつも利益は出ていました。それは東北地方を中心に展開しているスーパーマーケットのヨークベニマルが大きな利益を出している影響だと分かります。
ヨークベニマルが119億円の利益を出している一方で、イトーヨーカ堂は56億円の大きな赤字を出すほどの不振です。
イトーヨーカ堂では以前から進めていた構造改革を継続していたものの、原料高やエネルギー高を受けたとしています。
国内事業のエネルギーコスト上昇の影響を見てみると、イトーヨーカ堂では大きく赤字幅が拡大しています。一方でセブン-イレブンは増益やヨークベニマルは影響は受けつつも十分に利益が出ています。
イトーヨーカ堂は総合スーパーと呼ばれる業態で、撤退を表明したアパレルなども含む複数階建ての店舗が主流でした。
このため、店舗の大きさからエネルギーコスト増加の影響を受けやすかったことが分かります。さらにイトーヨーカ堂は古くなっている店舗も多く、改修コストなども含め店舗の維持は難しくなっています。
アパレル撤退の背景には、ユニクロなどのファストファッションの普及があります。ファストファッションの店舗が非常に増え購入しやすい状況で、さまざまな店舗が入っている総合スーパーのメリットは小さくなっています。
また、既存店の売上高の伸び率を見てみると、ライフスタイル関連の売り上げに加えて食品の売り上げも減少してしまっており、集客力自体が減少したと分かります。集客に苦しむ中、近年のコスト高の影響を吸収できず、店舗の維持が難しくなっていたということです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
スシロー、おとり広告で「信用失墜」し客離れ──それだけではない業績悪化のワケ
最近のスシローといえば、おとり広告の問題で景品表示法に係る措置命令を受けてしまった件は記憶に新しいことでしょう。こういった問題が起きるとどのような影響があるのかを「減損損失」という視点から見ていきます。
社長は「トヨダ」氏なのに、社名はなぜ「トヨタ」? “TOYODA”エンブレムが幻になった3つの理由
日本の自動車産業をけん引するトヨタ自動車。しかし、同社の豊田社長の名字の読み方は「トヨダ」と濁点が付く。なぜ、創業家の名字と社名が異なるのか? 経緯を調べると、そこには3つの理由があった。
「部下を育てられない管理職」と「プロの管理職」 両者を分ける“4つのスキル”とは?
日本企業はなぜ、「部下を育てられない管理職」を生み出してしまうのか。「部下を育てられない管理職」と「プロの管理職」を分ける“4つのスキル”とは? 転職市場で求められる優秀な管理職の特徴について解説する。
ファミマに吸収合併されたコンビニはどれ? 「ポプラ」「スリーエフ」「am/pm」
ファミリーマートの店舗を目にしたとき、「そういえば、ここは数年前まで別のコンビニじゃなかったっけ?」と記憶をたどったことはないだろうか。同社はこれまで、複数の企業を吸収合併してきた歴史を持つ。
「優秀だが、差別的な人」が面接に来たら? アマゾン・ジャパン人事が本人に伝える“一言”
多様性を重視するアマゾン・ジャパンの面接に「極めてだが優秀だが、差別的な人」が来た場合、どのような対応を取るのか。人事部の責任者である上田セシリアさんに聞いた。




