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アップル決算で高まる「インド」の存在感(2/2 ページ)

米アップルが発表した2023年1-3月期決算では、市場予想を上回るiPhoneの売れ行きが話題になっている。そこで見えてきたのが、経済成長が続くインドの存在感だ。

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 そして最も重要なポイントは、インドで作ったiPhoneを国外に輸出するだけでなく、インド国内でも売っていくという点でしょう。4月にはインドの2都市にアップルストアをオープンしています。

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ムンバイにオープンした「Apple BKC」(出典:公式Webサイト)

 4月のオープンなので、今回発表した1-3月期の決算には直接関係ないものの、インドの高価格帯スマホにおいて、アップルは首位のシェアを維持しているとの調査もあります。

 インド全体ではサムスンと中国メーカーによる安価なAndroidスマホが台数シェアの大半を占めているとみられますが、現地を訪れたティム・クック氏は中流階級が増えていることを指摘。今後はiPhoneに乗り換える人が増えるとの期待感がうかがえます。

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ニューデリーの店舗の様子(アップル提供画像)

 もちろん、Androidから上位のAndroid機種に買い替えるケースもあるとは思いますが、iPhoneの優位性はブランド力にあると考えられます。

 日本ではiPhoneユーザーが多すぎて実感が湧きませんが、新興国においてiPhoneはまだまだステータスであり、豊かさの象徴としてiPhoneを持ちたいという需要があるためです。

 iPhoneを使う人が増えれば、インド向けのアプリやコンテンツが充実し、アップルの売上の2割を占めるサービス事業(App StoreやApple Musicなど)を底上げする効果も期待できます。

日本での売上はどう?

 地域別の数字では、日本での売上が71億7600万ドル(約9676億円)と、6四半期連続のマイナス成長となったことが目を引きます。これは22年春に始まった急激な円安の影響と考えられます。

 アップルは売上をドルで計上するため、例えば10万円のiPhoneを売った場合、1ドル=110円なら909ドルの売上が立ちますが、1ドル=140円では714ドルに減ってしまいます。

 その対策として、22年には日本での値上げが話題になりました。ざっくりした比較ではありますが、アップルの売上を円建てに換算してみると、日本の成長率は世界平均をおおむね上回っているように見えます。

 次の4-6月期からは前年と比べる際の為替レートの差が縮まることから、日本での売れ行きをより比較しやすくなるでしょう。

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アップルの店舗(提供:ゲッティイメージズ)

書き手:山口 健太(やまぐち・けんた)

1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

ヤフーニュース個人:「ITジャーナリスト2.0 山口健太

Twitter:@yamaguc_k

公式Webサイト:山口健太

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