来場者の4割が「野球観戦」をしない!? 日ハム新球場「エスコンフィールド」が試合日以外も集客を増やすワケ:宮武和多哉の「乗りもの」から読み解く(1/3 ページ)
北海道北広島市に、新しい球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」が開場して、もう半年が経過した。エスコンフィールドを語る上で「野球がない日」の来場者数が多いことにも注目したい。なんと、来客の4割弱が「野球観戦以外」の目的でエスコンフィールドを訪れているというのだ。
新連載・宮武和多哉の「乗りもの」から読み解く:
乗り物全般ライターの宮武和多哉氏が、「鉄道」「路線バス」「フェリー」などさまざまな乗りもののトレンドを解説する。
北海道北広島市に、新しい球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」(以下:エスコンフィールド)が開場して、もう半年が経過した。この球場に本拠地を置くプロ野球・北海道日本ハムファイターズ(以下:ファイターズ)の試合開催日には、多くの野球ファンが集結する。
球場の客席はフィールドを包み込むようにすり鉢状に配置され、どの席からも臨場感あふれるプレーを眺めることができる。また屋根が開閉するドーム球場でありながら、高さ10メートルのガラス壁と巨大な通気口があり、日当たり・風通しの良さは抜群。野球を見る空間として、ここまで開放的な球場は、なかなかない。
ファイターズは前年までの本拠地「札幌ドーム」を去り、2023年からは「エスコンフィールド」に本拠地を移転。最寄り駅(JR千歳線・北広島駅)から1.9キロも離れているにもかかわらず、観客動員数は1試合平均で前年より約1万人も増加している。野球ファン・ファイターズファンに、エスコンフィールドが受け入れられていることは、疑いないだろう。
エスコンフィールドを語る上で「野球がない日」の来場者数が多いことにも注目したい。なんと、来客の4割弱が「野球観戦以外」の目的でエスコンフィールドを訪れているというのだ。
お世辞にもアクセスが良いとは言えないエスコンフィールドは、なぜ野球ファンだけでない集客を続け、人気を集めているのだろうか。
来場者の4割が「野球観戦」をしない!? Fビレッジの魅力
エスコンフィールドを含めた一帯は、さまざまなアクティビティーやレジャーを楽しめる「北海道ボールパーク Fビレッジ」(以下:Fビレッジ)として整備されており、野球の試合がない日にも、平日約5000人、休日約1万人が訪れているという。
5月のGW期間中に行われたイベント「どさんこ×FIGHTERS FビレッジへGO!GO!祭り」には、2日間で7万3516人が来場(主催者:札幌テレビ放送調べ)。定員3万5000人のエスコンフィールドだけでは成し得ない賑わいを生み出した。
Fビレッジとしての集客能力は、有名観光地や、ちょっとしたショッピングモールをしのぐ勢いがある。
エスコンフィールド、Fビレッジを運営するファイターズ スポーツ&エンターテイメント(日本ハム子会社、以下:FSE社)によると、Fビレッジのプレオープンから2カ月(3月12日〜8月31日)までの来場者は247万人(1日平均1万4300人)だという。野球は1試合あたり2万〜3万人を動員しているにもかかわらず、全体で見ると4割近く(38%)が「野球観戦を目的としない人々」だという。
実は、集客施設としてのFビレッジの強みは「野球がなくても楽しめる」「幅広い層の人々が楽しめる」ことにある。
約33ヘクタールもあるFビレッジの敷地内には、知育玩具「ボーネルンド」直営の子どものあそび場「PLAYLOT」や、巨大な滑り台・アスレチック施設・植物園などがあり、ありとあらゆる“子ども遊び”が、ギュッと配置されている。課外学習や遠足の行先としてもFビレッジがよく候補に挙がるため、クラス単位で訪れるケースも多いそうだ。
また、エスコンフィールド内の飲食店街は、試合がない日も大半が営業している。球場外ではオープンカフェやレストランも営業しており、「食のテーマパーク」と言えるほどグルメが充実。バスツアーの観光客や、近隣の地域からクルマで訪れる人々も多いという。
他にも、海外からのインバウンド観光客が“すきま時間”を活用して「昼間は定番観光地、夜はグルメ・野球観戦」を目的に訪れるなど、想定していなかった需要もあるとのこと。こうしてFビレッジは、平日昼間でもそこそこに人が絶えない。
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