“限界集落”をグランピングで町おこし 売り上げが20倍超になった納得理由:人口400人(4/5 ページ)
岡山県津山市・阿波地区。人口400人ほどで、高齢化も進む地域に21年、グランピング施設がオープンした。一体なぜ、観光地でもないエリアにオープンしたのか。背景には、自治体ならではの課題があった。
安いのに、なかなか人が来ない 何がボトルネックだったのか
増田氏は「いくら『田舎暮らしリゾート』とうたっても、やはりなかなか人が来ませんでした。お客さまが滞在したいと思えるようなコンテンツが充実していなかったことが要因です」と振り返る。
そこで、サウナやスパイスの調合、畑での作物収穫、動物と触れ合える牧場など、さまざまな体験コンテンツを整備した。
また、予約データの分析を通した改善にも着手。日次で売り上げを可視化し、前年同期比で落ち込んでいるときなどはアーリーチェックインや、サウナを無料化して集客に結び付けている。
「データを眺めていると、意外なことも分かります。例えば、以前は地元・津山の方が多く訪れていると思い、市内で販促活動をしていました。しかし、予約データを分析したところ、関西地方からのお客さまが多いことが分かり、販促方法を切り替えることができました」(増田氏)
売り上げは当初の20倍超に 住民にも活力
このような取り組みが実を結び、ザランタンあば村の売り上げは初年度から4000万円→6000万円→8700万円(見込み)と成長を見せている。当初のキャンプ場が売り上げていた金額から考えると、成長率は20倍以上だ。これまでの宿泊者数も、1万人を超えた。
「利用率や売り上げが低迷していた施設が、驚くほど収益化しました。財政面で大きな負担だった施設が、単体で稼げる施設へと変貌したことはうれしい限りです。増田さんのお話にもあったように、関西圏からのお客さまが半分以上を占めており、阿波地区の魅力を外へ発信できている点にも手応えを感じています」(川口氏)
ダイブの事業は、地域の雇用創出にも貢献している。これまでに40人の雇用を生んでおり、時給も1000〜1100円と、岡山県の最低賃金(932円、23年10月時点)を大きく上回る。津山市の中心部と比較しても高めの設定となっており、若者の受け皿となっている。
地域住民にも変化が生まれた。これまで公共施設を管理していた組合は、地元の高齢者が多かった。80歳を超えるメンバーも多く、自身の年齢から、施設の運営などにも消極的な傾向があったという。しかし、ダイブの地方創生事業によって、自分たちの施設や地域が稼げることが分かり、活動が活性化している。直近では、組合から株式会社も生まれた。ダイブのメンバーとともに観光コンテンツを開発するなど、公と民が一緒になった取り組みが進んでいる。
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