仕組みを作る
第4のステージはコッターでいうと、(8)変革を体質化する、にあたります。
今回も「長時間労働の改善」を題材に取り上げます。「長時間労働の改善」のような全社を対象にしたテーマでは、経営層、人事部門、事業の企画部門、各部門の管理職層とメンバーなど、さまざまな方が参画します。ここでは「長時間労働の改善」というテーマが会社(経営層や人事総務部門など)から発せられて、各組織(事業部門や部、職場、チーム)でそれを推進していくケースで考えてみましょう。
第4のステージ「仕組みへの組み込み、新しい文化に基づく新たな変化のステージ」は、前半の「仕組みへの組み込み」と後半の「新しい文化に基づく新たな変化」に分かれます。
「仕組みへの組み込み」とは、業務プロセスや評価制度、表彰制度に代表される、働き方を規定するようなものへの反映を指します。例えば、労働時間がある基準を超えて長くなっている組織や人を、たとえ業績が良くても表彰の対象から外したり、これまでのトライアルで行ってきた業務改革を、全社の公式ルールとしたりすることが該当します。
第3のステージまでは、会社からの要望で行う改革であっても、実際に改革に関わる本人たちにとって取り組みを意味のあるものにするなど、主役は改革を実践する当事者でした。
第4ステージはルールや仕組みによって、全員がすべきことに変えていくため、改革の主体が再び会社や本社、部門に移ります。第1のステージで会社や本社などが立ち上げ、その後事業や職場で展開されていたことが、第4ステージになって、主体者がまた会社や本社などに移るということです。
第3のステージまでは、テーマや進め方にもよりますが、改革に積極的に関与する方と、そうでもない方がおり、ばらつきが許容されます。改革においてこのようなばらつきは、組織単位でも個人単位でも見られます。先行して改革を進める組織・人もいれば、いくら改革を進めても全く動かない組織や人もいるのです。
第4ステージは、「周りがいくら改革を進めても動かない組織や人」も含めて対象となります。そのために仕組みやルールを規定する組織や部署に主役が移るのです。
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