「ファミチキ×コーラ」の併売が7倍に! リテールメディアの真価と残る課題は:広告主の意見は?(1/5 ページ)
ファミリーマートと日本コカ・コーラ社がタッグを組み、リテールメディア活用に力を入れている。2023年4〜5月に実施したキャンペーンでは「ファミチキ×コーラ」の併売が7倍に。広告主から見たリテールメディアの真価と残る課題とは……。
ファミリーマートと日本コカ・コーラ社がタッグを組み、リテールメディア活用に力を入れている。
2023年4〜5月には「ファミチキにはコーク!!!!」とうたい、ファミチキとコカ・コーラの併売を促すキャンペーンを実施した。
キャンペーンの実施期間中の併買率は全店ベースで約6〜7倍に伸長。さらに、同社のリテールメディア最大の特徴であるデジタルサイネージ「FamilyMartVision」設置店舗では、未設置店舗と比較してコカ・コーラの売り上げが18%増加した。ファミリーマート担当者も「想定以上の数字で、社内でも驚きの声が挙がった」と振り返る。
本記事では、実際に広告施策を講じた日本コカ・コーラにリテールメディアの可能性と課題について聞くとともに、リテールメディアを提供するファミリーマートとゲート・ワンにキャンペーンを展開して感じた手応えを聞いた。
なぜファミチキ×コーク?
「ファミチキにはコーク」キャンペーンは、コカ・コーラブランド3商品(コカ・コーラ、コカ・コーラ ゼロ、コカ・コーラプラス)とファミリーマートのファミチキのセット販売プロモーションを実施。3種いずれかのコカ・コーラ商品とファミチキを同時購入した場合、100円引きした。
たくさんある商品の中からファミチキ×コークの組み合わせを選んだ背景には、日本ではコカ・コーラを食事シーンで飲む機会が少ないという課題感がある。
「コカ・コーラの認知度はほぼ100%に近い一方で、海外と比較して日本における飲用オケージョンが少ないことに課題を感じていました。そこで当社では、肉料理とコカ・コーラの組み合わせをおすすめする『肉にはコーク!』と銘打ったキャンペーンを年間を通して実施しています。
その中で、コンビニエンスストアにおける認知拡大の機会として、ファミリーマート社の主力商品であるファミチキとコカ・コーラの併売キャンペーンにトライしました」(日本コカ・コーラ リテールメディア担当シニアマネジャー 香川顕治郎さん)
ファミリーマートでは、店頭の販促施策にFamilyMartVisionを連動させる広告施策を「売場連動企画」と呼んでいる。
本キャンペーンでは、店内売り場での販促物の掲示、FamilyMartVision設置店舗でのキャンペーン情報の訴求、ファミペイへのデジタル広告配信を同タイミングで一気に展開。店舗、アプリ、サイネージ全てで情報発信を強化した。
「今、リテールメディアの大きなテーマとして『メーカーと小売の価値共創』があります。当社としても、メーカーとの連携・共創に課題を感じていました。
これまでも、新商品発売時などにFamilyMartVisionで広告を配信するケースはありましたが、今回は店頭での商品の訴求効果を最大化させるため、FamilyMartVisionと店頭での販促物、アプリで同様のメッセージを訴求した点が大きなポイントになります」(ゲート・ワン 速水大剛取締役COO)
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