サンリオはなぜ強い? 「かわいい」だけじゃない、ファン作りの3つの極意:令和の無駄学(3/3 ページ)
近年は大人でもかわいいキャラクターに「思わずハマってしまった」「推しキャラがいる」という人は珍しくありません。しかしなじみがない方は「大人なのに、かわいいキャラクター?」「なんであんなに夢中になるの?」「無駄じゃない?」――そんな風に思ってしまうこともあるのではないでしょうか。かわいいキャラクター業界をけん引する企業、サンリオでプロデューサーを務める池内慎一朗さんに、消費者を夢中にさせる、その裏側にある仕掛けについてお聞きしました。
人生を彩るエンターテインメントの必要性
ここまでのインタビューから私が感じた、愛されるキャラクターを育むためのポイントを3つにまとめさせていただきます。
「時代ならではの共感」を捉える
かわいいキャラクターとは縁のなかった、オーディション番組から現代の共感のつくり方があると捉え、NEXT KAWAII PROJECTを生むなど、関わりのないところからも“なぜ好まれているのか”言語化することでうまく取り入れ、ファンを増やす施策につなげていました。
コアは持ちつつ「余白」を意識
余白があるからこそ、他の共感とも重なるような良いコラボができるということ。さらには時代が変わってもうまく時代に合わせて変化をし、愛され続けるポイントにもなっている、ということが分かりました。
「リアルの場」を大事にする
リアルの場で共感してくれるファンのニーズに応える、そして喜んでくれているファンを目にする。そのことがキャラクターたちに対する共感を捉え続けることにもつながっているように感じました。
振り返ってみると、これらのポイントはキャラクターのプロデュースに限らず、多くの商品や事業で汎用できる学びのように思います。例えば「長く愛される商品や事業となるよう育成する」ことを考える際には、まずこの3つから取り組んでみるのはいかがでしょうか。
最後に、インタビューにご協力くださった池内さんの思いのこもったお言葉で、本記事の締めとさせていただきます。
池内氏: かわいいとか、そういうエンターテイメントというのは、なくても生きていけるものだとは思うんですけど、人生を彩るもの。そういう意味では逆に、不可欠なものでもあると思っています。人によって楽しみ方はいろいろあると思うんですけど、キャラクターたちがさらに彩ってくれていたらうれしいです。
著者紹介:佐藤諒平
株式会社 新潟博報堂│株式会社 博報堂 STP局
マーケティングプラナー/ヒット習慣メーカーズ
2020年 新潟博報堂に入社。2023年より博報堂にて、一人前のマーケターを目指して修行中。幼少から好きなかわいいキャラクターはバッドばつ丸くん。
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