私たちはもてあそばれている? 「本の帯」がもたらす“あざとい”3つの効果とは:令和の無駄学(1/2 ページ)
本の帯って実は海外ではみられない日本特有の文化だということをご存じでしょうか? 一説によると、本の帯が最初に付けられたのは大正3年だそう。今回は、読書が好きな生活者や消費行動の専門家へのインタビューも交えながら、本の帯がもたらす効果について、その実態をひもといていきます。
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連載:令和の無駄学〜僕らにはもっと無駄が必要だ〜
合理的で効率化が求められる社会。どんどん便利になる社会。何不自由なく生きられる社会。しかし、それと逆行するように人々の幸福度は下がっている。
もっと豊かで人間らしい暮らしを得るには、時間的な余白や、一見どうでもいいような機能、生活必需品ではないものの購入など、いうなれば「無駄」が必要なのである。無駄こそ心にゆとりをもたらし、無駄こそ周囲へのやさしさにつながる。真の豊かさを求める上での最強の武器である「無駄」について、社会を解剖していく。
世の中が加速度的に便利になる中、効率は良くなったものの面白さが失われてしまった……。だからこそ、今の時代には「無駄」が必要なのである!
そんな考えのもと鼻息荒く始まった本コラム。第6回目となる今回は、言われてみれば別になくてもよさそう……? そんな本の帯が持つ効果について、ちょっと意外な事実も含めてお話しします。
早速ですが、本の帯って実は海外ではみられない日本特有の文化だということをご存じでしょうか? 一説によると、本の帯が最初に付けられたのは大正3(1914)年であるとされています(※1)。付いていないほうが持ち運びやすいけれど捨ててしまうのも惜しい……なんだか少し不思議な存在です。実際、周りにも捨てずにとっておく人が一定数いるように感じます。
※1:評論家/作家の紀田順一郎氏による読売新聞への寄稿(1994年4月)、記田氏サイトへの再録「たかがオビ、されどオビ」より(2010年11月10月)
今回は、読書が好きな生活者や消費行動の専門家へのインタビューも交えながら、本の帯がもたらす効果について、その実態をひもといていきます。
本の帯って、実際どんな存在ですか?
まずは私の周囲の読書家たちの中で、「書店で本を購入する際、帯をよく参考にする」という方々に意見をきいてみました。
- 評価が高い作品や実写作品の原作など、一般的にいま注目されている本がひと目で分かるので便利(50代・女性)
- あきらかに違和感のある文言やデザインだと、つい中身が気になる(30代・男性)
- 書店で本の帯を見て、新しい作品を知ることが多い(20代・女性)
- 帯に、他の作家が推していると書いてある本は、つい魅力的に感じてしまう(50代・男性)
- もともと違う本を買う予定で書店に行った際、次に読みたい本の候補が帯から見つかることが多々ある(20代・女性)
どうやら、新情報として注目したり、選書の基準にしたりする人が多いようです。
また、過去に本の帯がもたらす効果についての卒業論文をご指導されていた、会津大学短期大学部 産業情報学科 八木橋彰准教授によると「本という商材は、非計画購買が約7割。つまり、別作品の購入目的で書店におとずれた際ついでに買うケースや、衝動買いするケースが他の商材と比べると多い」とのこと。
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