「出世するなら必ず管理職」からの脱却は、何を生む? 三井住友銀行「年功序列の廃止」の真意【後編】(2/5 ページ)
三井住友銀行が2026年1月をめどに、人事制度を抜本的に変更する方針を示した。その中でも「年功序列の廃止」が注目されている。新制度を受け止めることになる社員とのコミュニケーションはどのように計画しているのか。また、制度が変わることによって社員のキャリアプランにどのような影響があるのか。その詳細に迫る。
人事面談で、人のキャリアは変わるのか?
河合: 面談で、やっぱ変わってくれるなみたいな感覚はありますか。逆に、なかなか手ごわいというか、疲弊しちゃうようなことはありますか。
北山: やっぱりそんなに簡単に人のキャリアは、変わるものではないですよね。なので、人事パーソンとしての意識として大事なのは、自分たちの力で人の人生を変えられると思わないことです。ただ、人事側も自分たちなりの考えがあって話をしに行くので、そこは相手に伝わるように努力をし続ける必要はあるかと。本人がリフレクションして、やっぱり自分で意識を高めようとか、自分のキャリアをもう1回捉え直すというプロセスになるまで、われわれは語り続けるしかありません。
河合: 社員構成でみると、50歳以上をなんとかしなきゃという側面は、大きいですよね。
北山: これまでの運用では、51歳から階層が移行して、処遇が変わっていました。今回の制度改定ではそうしたシニア対応もなくなります。
河合: 年功序列をなくせば今までのような年齢で区切ってということはなくなるから、シニア社員のキャリアを後押しする制度になるってことですね。
北山: はい。セカンドキャリアのご案内も、引き続きわれわれとしてはやり続けていきたいと思っています。これは会社にとっても社員にとっても、すごくいい仕組みだと思ってますので。
あとキャリア採用も、やっぱり30代半ばぐらいから40代前半ぐらいからで、手を挙げてくれる方にとっても「やっぱり50過ぎたら処遇下がるんですね」というのは採用訴求力が弱いので。役割に応じた力のある方は、当然それ相応の処遇を得られ続けるような形にするという点は、今回かなり意識しました。
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