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「Aさんの意見は?」「いやー……」 上司の“自己満ファシリテーション”3つの特徴はこれだ「キレイごとナシ」のマネジメント論(5/6 ページ)

部下たちの表情からは、「早く終わってほしい」「時間がもったいない」と言いたげな印象を受けるのに、上司は気付いていないようだった。

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アイデアの発散に必要な「論理思考力」と「質問力」

 「発散」させるには、ファシリテーターの論理思考力と質問力が不可欠だ。具体と抽象の往復運動を繰り返さないと、テーマに沿った意義ある発散は実現できない。

 例えば「営業力を高める」というテーマで議論するとき、いきなり「オフィスをおしゃれにしよう」という意見が出たとする。確かに、快適な環境は営業成績に影響を与えるかもしれない。しかし、なぜそこにたどり着いたのか、論理の道筋が見えない。

 このような論理の飛躍を防ぐには、ファシリテーターが適切な質問で軌道修正する必要がある。「営業力を高めるために、オフィスの環境を変えることがどう影響するのか、もう少し具体的に説明してもらえますか?」といった形で、論理の道筋を整理するのだ。

ファシリテーターに必要な2つの質問パターン

 質問には「深堀りする質問」と「広げる質問」の2つのパターンがある。この2つをバランスよく使い分けることで、効果的な発散ができる。

 「深堀りする質問」は、出されたアイデアの本質や具体性を引き出すために使う。つまり抽象度の高いことを、具体化させていく質問だ。

  1. なぜ?
  2. 具体的に?
  3. 例えば?

 この3つを効果的に使おう。

 「なぜそう考えたのですか?」「具体的にどんな事例がありましたか?」「例えばどんなメリットが考えられますか?」――このような質問により、漠然としたアイデアがドンドン具体化していく。また、アイデアの背景にある思考プロセスも明らかになるだろう。

 一方で「広げる質問」は、新しい視点や可能性を探るために使う。別の切り口を紹介することで、議論を横展開できるようになるのだ。

 「SNS以外でのマーケティング手段は、他にどんなものがありますか?」「わが社にとってはそうでしょうが、お客さまの立場から見たらどうでしょうか?」「効果があるとのことですが、コスト面ではどうですか?」――このような質問を繰り返すことで、思いもかけない発想が生まれる。またメンバーの視野も広がり、より創造的なアイデアも出やすくなるのだ。

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