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仕事のミスを隠そうとする部下、掛けるべき「一言」:「キレイごとナシ」のマネジメント論(2/5 ページ)
「申し訳ありません……」。上司から「なぜミスを隠したのか?」と問われ、若手社員は俯いたまま何も答えられなかった。
「ミス」と「失敗」は違う
そもそも「ミス」と「失敗」は全然違うものだ。私はある社長に、
「ミスはダメだけど、失敗は大いにやれ」
と教えてもらった。どちらもネガティブに捉える人がいるが、実はそうではない。何が違うのか、3つの視点で分けてみよう。
1. 意識的か無意識的か
ミスは計算式を間違えたり、入力を誤ったりする「無意識的な過ち」を指す。
一方失敗は、プロジェクトが納期に間に合わなかったり、新規製品が市場で受け入れられなかったりするケースを指す。一所懸命に努力したのだが、結果や計画が期待通りにならなかったことを指すのだ。
従ってミスは無意識だが、失敗は意識的にとった行動の結果といえる。
2. 対策の難易度
ミスはその場で修正できることが多い。とくに「ケアレスミス」などはそうだろう。「もっと集中しよう」「3回はチェックしよう」と心掛けるだけで対策できる。
一方で失敗は、意思決定プロセスや計画そのものを見直す必要があるため、どちらかというと対策の難易度は高い。対策をとる範囲も広かったり、どこに問題があるのかを特定することも難しかったりする。
3. 成功との関係性
失敗とミスの最も大きな違いがこれだ。ミスは報告書内の小さな誤りが信頼性を損なうように、成功を妨げる要因にしかならない。極力避けるべきだ。
「失敗は成功の母」とは言うが、「ミスは成功のもと」などとは表現されない。
従って失敗はミスと違い、その経験を次へ生かすことができる。失敗の数があるだけ、チャレンジ精神が高いともいえるわけだから、失敗を恐れずに挑戦することも大事だ(失敗をすればいい、というわけではない)。
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