仕事のミスを隠そうとする部下、掛けるべき「一言」:「キレイごとナシ」のマネジメント論(3/5 ページ)
「申し訳ありません……」。上司から「なぜミスを隠したのか?」と問われ、若手社員は俯いたまま何も答えられなかった。
「ミス」の5つの種類を理解する
ミスと失敗の違いは、なんとなく理解できたと思う。失敗と違って、ミスはできる限り減らさなくてはいけないものだ。しかしミスにもいろんな種類がある。単なる「うっかりミス」に限らない。ミスをキチンと分類しないと、どう対策をとっていいか分からない。
それでは仕事のミスを5つに分類し、それぞれの特徴を紹介しよう。
1. ヒューマンエラーによるミス
第1に、ヒューマンエラーによるミスだ。ミスと言えば、ほとんどの人はこの分類を思い起こすだろう。
注意不足による「うっかりミス」が大半で、計算間違いやメールの宛先ミスが典型的な例だ。また指示を誤って解釈する「勘違いミス」、会議の予定を失念する「忘却ミス」、データ削除や設定ミスなどの「操作ミス」もこのタイプに含まれる。
このタイプのミスは意識と集中力が足りないことが、大体の原因だ。当然、このようなミスを繰り返すと上司から注意されることになる。
2. 知識やスキル不足によるミス
第2に、知識やスキル不足によるミスだ。
手順を知らずに間違えるなどの「知識不足」、複雑な分析作業で失敗する「スキル不足」、時代遅れの手法を使う「アップデート不足」などがある。
このタイプのミスは避けづらい。依頼された仕事をやり切ることができるか、自分では判断できないことがあるからだ。
そもそもその仕事を任せた上司側の問題かもしれない。それなりの知識、スキルがないとできない仕事を頼むときは、認識のズレがなくなるよう念入りに確認する必要がある。
3. コミュニケーション不足によるミス
3つ目はコミュニケーション不足によるミスだ。うっかりミスでもないし、知識不足によるミスでもない。
単にうまく伝わっていないがために引き起こされた「伝達不足によるミス」や、あいまいな指示が原因の「誤解によるミス」、さらには感情的な対立が影響を及ぼす「対人関係によるミス」などがあるだろう。
このタイプは伝える側と受け取る側、どちらに問題があるのか、あるいは両方に原因があるのか、しっかりと見極める必要がある。第三者が関わらないと解決できないこともある。
4. プロセス上のミス
4つ目はプロセス上のミスだ。計画を甘く見つもる「計画ミス」、飛ばしてはいけない手順をスキップする「手順のミス」、緊急タスクを後回しにするといった「優先順位のミス」などを指す。
このタイプはもともとの仕組みや制度、マニュアルに問題があることが多い。
「この手順書に書かれてある通り、プロジェクトの計画を作りました。私のミスではありません」
「緊急時の対応マニュアルの通りに実行しています。このマニュアルがおかしいです」
当事者のこのような言い分を無視して「言い訳をするな! これは君のミスだ」と断定してしまうと、根本的な解決には至らない。根が深い問題として捉える必要がある。
5. 偶発的ミス
最後は偶発的なミスである。
停電やシステム障害による「想定外の事故」や、思いがけないエラーなどの「偶然のミス」。このタイプは想定外のことで避けられない。だから万が一のことに備えて再発防止策を考えることが重要だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「お前はどうしたい?」しか言わない上司の自己満足 「考えさせる風」コミュニケーションが招く悲劇
この認識のズレが、若手社員の成長を阻害する要因にもなっている。
部下が相談する気をなくす、上司の無神経な「たった一言」
部下が報連相しようとしたときの上司の何気ない「ある一言」が、部下の心を萎縮させているのだ。
部下から「給料を上げてください」と言われたら、上司のあなたはどう返す?
もしこんな相談を受けたら、決して避けてはいけない。上司がどう向き合うべきか解説する。
「自責思考を持て」という“無敵論法”の危うさ 素直な若手ほど潰れるワケ
上司から「自責の念を持て」「他人のせいにするな」と言われた経験はないだろうか。
“残念な上司”が作る「会議資料」の特徴 ムダをなくす3つの改善策は
会議資料を一目見ただけで、その上司が「できる人」か「残念な人」かが分かる。
